昨日はアメリカの経済指標のうちで、小売り関連、インフレ関連のデータが良かったことで、ドル買いを誘うこととなった。ドル円は114円台の中盤でステイしていたものが、114.96まで急上昇。
しかしトップではスペック筋の利食い売りがかなり並んでいたようだ。115円台に乗せ切れないと見ると、大量のドル売りに見舞われることとなった。ドル円は113円台まで後退する局面もあった。
今年に入って2か月足らず経過したが、今年のドル円の高値は1月初旬につけた118.61である。これは12月に付けた高値とほぼ並ぶものであり、ここでダブルトップを形成したともいえる。
一方で今年の安値のほうは2月7日の111.60で、こちらはその前後で何度も同じような水準で下攻めを決行している。こちらも何度も止められているので、よくサポートされているといってよい。このバンドの中での推移になっているのだが、半値は115.10だ。半値水準よりも上にいるか下にいるかで、相場はどちら向きに圧力がかかっているのかが想像される。
ここしばらくはずっと下サイドである。だからテクニカル面からの要請としては、下サイドにいる限りは戻り売りのスタンスで臨めということになる。そして実際に昨日もドル円の戻しをトライしたが、115円台に乗せ切れず。帆江という節目が上値抵抗線としてワークしている。
ただしリスク面など外部環境を見ると、もっとドル円などは買われてもいいような状況にあるのも確かではある。一つは株価だ。米国株は歴史的な高値圏に位置しているのはいうまでもなく、これで5日連続での歴史更新を演じている。
リスクテークの流れについて行くならば、ドル円が今年のレンジの半値よりも下でプレイしているのは不自然なのである。またドル金利の上昇も、ドル上昇の要因たりえるはずである。一時期ほど激しくドル金利が上昇することはなくなったが、いつ一段高してもおかしくはない状況にもある。
FRBの姿勢としても利上げにそれほども慎重でなくなってきているのが見て取れるし、FRBのバランスシート縮小の過程で長期金利の上昇も避けられないところだ。それでもドルが素直に上昇していかないのは、ひとえにトランプ大統領の意向であろう。
為替操作をしていると疑いをもたれるのを嫌っての発言が日本からも中国からも目立つ。自国通貨安を支援するようなコメントは極度に減ってきているのも事実だ。しかるに外部環境を反映したドルの一本調子の上昇は、マーケット自体が自信を持てないところなのだろう。
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