先週はビッグイベントが並んだはずであったが、結果としてマーケットは小動きのままだった。株価も為替相場も金利も、すべてが小動き。週を通じても、今年最小の値幅だったのではなかろうかと思えるくらいだ。
トランプ大統領の「驚くべき税制改革」も、あれでおしまいなのか。G20からは何も目新しいものが出てこないで終わってしまい、保護主義に関してはアメリカの立場を忖度する程度であった。米独会談ではメルケル首相の冷たい視線が際立ったくらい。
トランプ大統領は大型減税や大規模なインフラ投資、規制緩和を主張しているが、まだ不透明感ばかりだとはいえ、すでにマーケットは株高・ドル高・金利高で進んでしまっている。期待先行なのはいうまでもないが、果たしてこれがトランプ氏を大統領に押し上げた支持層のサポートになるのであろうか。
ドル高になったら輸出は打撃を受けるだろうし、金利高になったら住宅ローンが苦しくなる。持っていないのに株価が上がっても仕方がないだろう。喜ぶのは大陸の両端だけで、ウオール街とシリコンバレーだけではないのか。今は熱狂しているラストベルトの人々も、クリスマスを待ち望んでいる七面鳥のようなものではないのか。
入国禁止令などにみられるように、トランプ大統領の政策も一筋縄ではいかないことがわかってきた。早晩、霧の晴れる状況になるのだろう。そうなると反動は大きい。先週の小動きはそれを示唆しているのではなかろうか。ドル円はすでに112円台ミドルまで下落し、相変わらず小動きのなかちょっとだけ安値更新だ。
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