米議会で減税法案が通過した。この通過に至るまで期待を込めてマーケットはリスクテークに傾いたが、ニューヨーク時間では失速。これは金曜日に迫っている暫定予算の期限切れに対する対策と、スペイン・カタロニア州の議会選挙で独立支持派が優勢と報じられたからだ。
それまで上げていた米国株はニューヨーク終盤でそのゲインをほとんど吐き出し、ドル金利の上昇も止まった。その間にも為替相場は実に小動きで、ドル円もユーロドルも30ポイントほどしか動かなかった。
もちろんクリスマスに向けての連休モードに入っているのは認識している。市場参加者も徐々に減っていくのもうなづける。相場の変動が鈍くなってくるのも仕方がないところだ。国連でエルサレム問題を協議しても、北朝鮮への制裁措置を論じても、マーケットはまったく反応しなくなった。
さて今年も残り1週間である。そこで今年1年のマーケットを振り返ってみよう。昨年の11月にアメリカの大統領選がああって、それがマーケットにリスクテークを促した。トランプラリーである。
それで今年の1月は118円台をつけて始まった。もちろんこの時点ではもっと上がると考えられていた。それゆえの高値圏である。またFRBの金融政策も年に4回のタイトニングが見込まれていて、金利面からのドル買いも促されるはずであった。
しかし2月あたりから市場の関心の的となったのは、北朝鮮問題であった。弾道ミサイルの開発が終局に差し掛かったようで、性能の向上が見られる。これが地政学的リスクの増大をもたらし、ドル円は一方的に上げることはなくなった。
ミサイルが日本の上空を飛び越えたときは、初めてのJアラートが鳴ったりした。北朝鮮は核実験も行い、ドル円は年初では誰も想像もしなかったレベルである107円台まで落ち込んだ。
マーケットのリスク要因はほかにもあった。イギリスのハードBREXIT問題や、スペインのカタロニア独立問題である。しかしマーケットに与えるリスクの影響は、実に軽微なものであったとしか言いようがない。
トランプ大統領を筆頭にして、あまりにも多くのリスク材料が並んだせいもあったのだろう、マーケットはリスクに鈍感になった感が強い。ドル円は1年の半値あたりを中心に、比較的に安定的な動きをしている。
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