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タカ派的だったFOMC、ハト派的だった日銀会合
2024年最後のビッグイベントとなったFOMC(12月18日)、そして日銀金融政策決定会合(12月19日)。結果は対照的でした。
FOMCでは0.25%利下げしたものの、ドット・チャート(ドット・プロット)が予想以上にタカ派方向にシフトし、米ドルは大きく上昇しました。
日銀政策決定会合では、連日のように報じられたリーク報道から政策変更はないと織り込まれていましたが、バランスをとって植田総裁の会見はややタカ派方向に振るのではないかと見られていました。
ところが植田総裁は(1)トランプ政権の政策を見極めないといけない、という点と(2)賃金引き上げに関する報道をもう少し見たい、との理由を挙げて早期の利上げを否定しました。
これに市場は驚かされました。
結果的に米ドル/円は、FOMC後に約1円、日銀政策決定会合後に約2円上昇し、合計3円ほど円安に振れたのでした。
(※筆者提供・TradingView)
FOMCはトランプ新政権の政策を見越して政策に変化
FOMCと日銀政策決定会合、それぞれポイントを見てみます。
【FOMC】
FOMCで注目されたのはドット・プロットです。2025年の利下げ回数が3回になると私自身は予想していたのですが、FOMC参加者はわずか2回の利下げ予想でした。
さらに驚いたのは、今回0.25%利下げを決定しましたが、政策金利の据え置きを主張した関係者が4名もいたことです。
(※筆者提供)
会見でもパウエル議長は終始タカ派的でした。
「我々は新しい段階に入ったと考えている」
この発言が象徴的でしょう。2025年1月20日以降、トランプ新政権が誕生します。トランプ大統領は関税引き上げや、減税を主張しています。こうしたトランプ大統領が実行された場合、明らかにインフレには上昇圧力がかかります。
FOMC委員の何人かは、新政権の政策を織り込んでタカ派シフトしているとパウエル議長も会見で認めていました。
マーケットはこうしたFOMC参加者のタカ派シフトを反映して、2025年は1回だけの利下げ織り込みになっています。
(※筆者提供)
(※筆者提供)
FOMCの各委員はトランプ新政権で、インフレ率が上昇すると見ています。この状況では、FOMCが利下げに動くのは相当先になると想定されます。
植田総裁の「ワンノッチ」発言で1月利上げ見通しが遠のいた
【日銀金融政策決定会合】
植田総裁は11月30日に公開された日経新聞社とのインタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と発言されていました。また、「一段の円安はリスクが大きい」との認識も示されていました。
日銀総裁「一段の円安、リスク大きい」 政策変更で対応も
出所:日経新聞
しかしながら、このインタビューで市場はかなり12月利上げを織り込んだのですが、ここから連日のように利上げ否定キャンペーンが行われ、市場の期待は急速に低迷しました。知り合いのJGB(日本国債)デスクからは、それでも日銀は利上げするとの強い観測が聞かれましたが、結局政策変更無しで終わりました。
日銀、そして植田総裁に何が起こったのでしょうか?
植田総裁の主張は
(1)トランプ新政権の政策を見極めたい
(2)もう「ワンノッチ」欲しい。賃金が上昇するという確信がもてない
という点でした。
トランプ新政権の誕生が1月20日。次の日銀金融政策決定会合が1月23~24日ということを考えると、トランプ政権の政策を見極めるには1月の金融政策決定会合では時間が足りないことになります。
賃金に関する情報も、春闘における賃上げ状況がはっきりしてくるのは3月から4月ぐらいです。
そうなると、2025年1月政策決定会合で利上げを決めるには情報不足と言えます。2025年3月以降になりそうな気配があります。
トランプ氏の政策によりFOMCがタカ派にシフトしたこと、そして日本の賃金状況を見るまで日銀が利上げに動けないことを考えると、米ドル/円が上昇するリスクはかなり高まっていると言えます。
年末年始の時期に日本が介入に動くというのは、あまり想定できないことを考えると、年を越す頃に160円台というシナリオも十分あり得るところだと思います。
(出所:TradingView)
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