日銀は事実上の緩和縮小をしているのだが、それを公式に発言しないで「緩和を継続」とだけ言い続けているのも最終局面を迎えたようである。公式に発言できないのは、官僚出身の人間が日銀総裁をやっているのだから仕方のないところだ。
しかし日銀の長期債の買い入れはずっと減ってきているのは公表されているのだから、後はそれをテイパリングと認めるかどうかだけ。テイパリングも一種のタイトニングだから、金融政策の変更といってもいい。昨日は日銀の債券買い入れ減額の通知が出たことで、ようやく出口戦略に一歩近づいたようだ。
直接の対象である円債は相場が下がるには下がったが、いまだ不十分。しかし日本株の一段高には歯止めがかかったようでもある。昨日の日経平均株価は今年になって3日続伸といっても、それは前日比でのこと。1日の動きをよく表す日足の形は陰線を形成した。
ドル円も113円ちょうどを割り込んできてからは、まったく戻す勢いが感じられなくなってしまった。ドル円はまだ最近のコアレンジ内にステイしているので、あまり円買いが入ったという気がしないが、ユーロ円やポンド円でも円高が進んできているので、やはり円が買われているとみなしたほうがよいであろう。
今晩は経済イベントがほとんどない。しかし注目は長期金利の動向である。昨日の円債の下落はやむなしとしても、米債もドイツ債も相場が下落している。この場合の長期金利の上昇はドル高をもたらさないので注意を要する。
世界的に長期金利の上昇が一過性のもので終わらなければ、ドル円やクロス円の軟化はもうしばらくは続くのではないか。私はそういう想定のもとで、当面はドル円の戻り売り態勢で臨もうかと考えている。
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