財務省の報告以来、安倍政権の不安定さも増してきた。昨日のアジア時間などは絶好の「日本売り」のタイミングであった。日本売りというのは日本のリスクファクターを売っていくこと。株、債券、日本円が同時に下がる、トリプル安をもたらすパターンのことだ。
今年に入ってずっとドル円がベアだった私も、さすがに安易にショートに振れなくなってきた。円安になるのを要警戒モードになってきているからだ。昨日は朝がたは106円台の前半だったものが、やはり欧州序盤では106円台の後半まで上がってきた。
ニューヨーク序盤まで円相場の全面安は続き、ドル円は107円台に乗せてきて、107.25あたりまで高値を形成していた。そうした時に米紙にティラーソン国務長官の辞任の話が出てきたのである。トランプ大統領のツイッターにも出ていたというのだから確かなのだろう。しかし最初のアクションはそれほど劇的なものとはいえなかった。
ドル円は下がるには下がったが、スピードが遅く、値幅も50ポイントくらい。ドルの全面安にもなっているが、ユーロドルやポンドドルの上げ幅はとても小さいものに限られた。そのうちドル円は再び上がってきて107円台を回復。もうマーケットで材料を吸収してしまったかと思われたので、私は寝ることにした。
しかし夜中になってこの話題が蒸し返されたのか、ドル相場は軟化した。ドル円は106円台の中盤まで押し戻され、同時に米国株などリスク性の高い資産価格も急激に下がってきたのだ。そのままニューヨーククローズを迎えてしまい、ドル円もユーロドルも、日中のレンジの中ではドル安ゾーンで引けたともいえる。
ティラーソン氏の解任は以前からささやかれていたことでもある。現実になったことで反応はしてみたものの、それがどこまで価格に織り込んだらいいものなのか、マーケットも暗中模索の途中なのだろう。
今晩は小売売上高やPPIなど、景気やインフレにとって重要な経済指標が出る。その発表の前後での米国株やドル金利の動向はまずもって要ウオッチなのだが、同じような重要度をもって中国やEUへの関税問題も結論が待たれている。トランプ大統領をはじめ、政権側の発言にも注意を要する。
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