昨日はアジア時間から大きくリスクテーク。前日の米国株が大きく切り返したからだ。ドル円も105円台の中盤まで値を戻してきて、さらに上値追いの態勢だ。欧州序盤ではやはりドル円、ユーロ円は堅調であって、そのままドル円は105.90まで高値を広げた。
ニューヨークオープンとなって小動きとなったが、たいしてマーケットの流れに変化はない。利食い売りをこなしながらも米国株は堅調だった。そのときに中国による対米投資を制限する大統領令が出そうだということが出てきて、市場のムードは一変。米国株はそれまでのゲインをすべて吐き出すまでには時間はかからなかった。
ドル円も上げの歩みを止めてしまった。またハイテク主導でのリスク回避もともなった。先日のUberの余波なのか、自動運転の実験を注視するという企業も出てきたり、情報漏洩で問題とされているフェイスブックの代表者が議会で証言を要請されているとか。それで米国株の下げ幅が拡大するにつれて、ドル円やユーロ円も頭が重くなっていった。
また昨日は日本株の配当取りの最終日ということもあって、終日にわたって日本株が強かった。もちろん背景には前日に米国株が大きく切り返したことが大きく作用していたのも事実。しかし日経先物でいうと20900円レベルくらいまではショートカバーも巻き込んで上昇の余地はあっても不思議ではなかった。
しかしまあそれが勢いづいて、21000円台まで乗せてきて、日経先物はナイトセッションでは21180円まで高値を付けるに及んだ。ここまでくればさすがにバリュー無視のそしりを免れない。
そもそも配当をとっても、それは経済的に意味がないことだ。日経平均ベースで言えば170円分がもらえるかもしれないが、その直後に株価は170円分だけ下がるのだ。つまりインカムゲインで170円をもらって、キャピタルロスで170円の損を計上するだけなのだ。
経済的に効果がないならば、実際にトレードに専念している人は権利落ちの前後を避けて通るはずである。なぜならば儲かりもしないのに、入ってきたお金に関する伝票や書類などを作らないといけないからだ。手間暇が増えるだけのことなのだ。
その上、昨夜の米国株反落によって、日経先物は元のレベルである20690円でニューヨーククローズを迎えてしまっている。意味もない170円分の配当取りのために、600円級の損失を出してしまっているのだ。高くついたことになる。
東京時間ではまた株買いは先行したが、そもそもこの配当取りの行為によって積み上がった日本株のロング分がなくなるまで、量的なリスクオフは避けられず、私としてもドル円やユーロ円はベア目線に考えておかないといけなくなっている。
日本時間 15時30分
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