週明けのマーケットは早朝からリスクテークで動いた。米中の貿易問題が妥協の産物で終わったことが、市場に安心感をもたらしたからだ。やはり何も特殊なことはできなかったのだなという政治的な失望は、今のところ見られない。
つまりいいとこ取りだけをしている様子は、トランプラリーの特徴でもある。というわけで早朝のグローベックスセッションにおいて、米国株は大幅上昇してスタートしてしまっており、それにしたがってドル円も小幅上昇して始まった。
ドル円は早々に111円台に乗せてきたが、思ったほどの上昇力でもない。跳ね上がるということが見られないからだ。だからロングで攻める気にもなれない。でもぜんぜん下がらないのも事実だった。欧州序盤までにはドル円は111.30あたりまで上がってきて、海外市場の動向をもっと見たいなという感じになった。
同時にユーロドルが安い。ユーロドルは1.1720アラウンドを攻めており、こちらはドル買い意慾がムンムンだ。しかしその後の海外市場では、おおむねドルロングの調整のほうが大きかった。ニューヨーククローズに至るまでには、ドル円もユーロドルも日中のドル最安値圏で引けることとなった。
ところで北朝鮮のことを約束を守らない国と言われてきたが、最近はアメリカもその傾向を強めている。国際的な取り決めからの脱退や再交渉が多いからだ。NAFTAしかり、TPPしかり、パリ協定しかりである。政権が変わるたびに取り決めを無効にされたのではたまらない。国際的な信用力の低下は避けられないものがある。
日本国憲法でも条約に関しては衆議院の優越が認められている通り、外国との取り決めは重要度が高い。ないがしろにすると国家としての存立が承認されなくなってしまうほどだ。アメリカ・ファーストは公約だからよいとしても、あまり国際感覚を無視したことばかりをしていると、アメリカ人はこれまで築いてきた遺産の多くを失うことにもなりかねない。
今晩は米韓首脳会議が予定されているが、これからは目新しいものは出てこないものと考えられている。単なるパフォーマンスに終始するのではないかという見方がもっぱらだ。株価や原油価格が高値止まりしているので、リスクのありようを要警戒といったところだろう。
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