先週の金曜日はアジア時間ではドル円は110円ちょうどを挟んでの一進一退。まったく動意がなかった。それは欧州時間に開かれるウイーンでのOPEC総会の結果待ちだ。
そしてこの日はOPECの総会くらいしか、目立った材料はなかった。私もマーケットが何がしらの動きを示すまでは、動きたくても動けない。動いたほうについていこうにも、動かないものは仕方がない。
トランプ政権の核合意破棄で、イラン産の原油が市場に出回らないことを恐れて、すでに原油は70ドル台まで上がってきたのは記憶に新しい。その後にサウジやロシアが主導して産油国内で増産体制を築き上げることで、コンセンサス作りは試されてきた。
それで原油価格も65ドルを割り込むくらいまで軟調になってきていたのだが、ここにきていくつかのOPEC加盟国が増産に反対したりもする。価格下落を渋ってのことだ。
そして出てきたOPEC総会からの結論も、実に玉虫色の回答となってしまった。名目で100万BPDの増産は目指すが、実質は60万BPDにするということ。これはイランに対する政治的配慮の色合いが強い。
最大で100万BPDの増産もありうると見込んでいたマーケットは、予想を下回る量だったという解釈に至った。原油価格は顕著に上昇し、70ドルちょうどの手前まで上がって、そのまま高値圏を維持している。
原油価格はリスク相場の代表みたいなものだ。そこで原油価格の上昇は即座に株高をもたらす。米国株は上昇し、ダウ平均は9日続落を免れた。
リスクテークの相場展開になってもよさそうなものなのに、ニューヨーク時間では総じてドル円の利食い売りが出てきて優勢となり、またユーロ円も重い足取りを強いられることとなった。ユーロドルは日中の高値圏でおわることとなったが、1.16台の後半からはオファーもしっかりと並んでおり、簡単には上に行きそうもない。
今日もイベントが少なく、中休みといったところだろう。ワールドカップのほうがそろそろグループリーグの最終戦を迎えているので、世の中の関心はそちらに移ってしまっている。各国要人も国際会議を理由にして、ロシアに観戦に行っているくらいだ。
原油価格が高騰してきており、大台の70ドル台をはさんでのせめぎあいがマーケットのリスク許容度のありようを決定することになりそうだ。このままズンズンと原油相場が上がっていくことは想像しにくい。
しかしもしも72ドル台とかまで突破してくるようならば、リスクフルということでドル円も高くてもロング攻めに傾けていってもいいのではなかろうか。しかし朝から貿易問題を意識して、リスク回避からの円高がやや進んではいる。
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