昨日は朝からドル円は110円台を割り込んできたが、それでも109円台の後半にとどまっていて、とくに値崩れするという感じでもなかった。その前日の大きな株価の下落などに見られるリスク回避のさなかでも、ドル円はあまり下がらなかったことが効いているようだ。
つまり短期的なショートカバーが起こりやすい地合いとなる。それでドル円を買いたいと思っていた人らが買いレベルを上げてくるというような動きが出てくるのだ。
やや重そうな動きを示していたドル円だったが、夜の9時前にトランプ大統領が「中国に対する投資制限はもっとも厳しい措置としない」とつぶやいたことで、市場に安心感が戻ってきた。市場の流れはリスクテークに。
何かの材料を欲していたところだ。多くのプレーヤーがそれに飛びついた。ドル円は110円台を回復し、110円台の中盤までじわじわと上がってきた。私も何回かはドル円ロングで攻めたてたが、いかんせん根っこがベアなものだから、すぐに利食い売りしてしまう。
まあ、それでも何回も相場に出入りすることによって、利幅の少ないところをカバーしていくしかなかった。しかしニューヨーク序盤ではNEC委員長がそれとは反対の意見を述べたので、マーケットは再びリスク回避に傾いた。トランプ大統領は中国の態度に満足していないという。
それで米国株が急落に転じ、ドル円の上げも止まったのである。今回も110円台の中盤は抵抗線だったのか。強力にレジストしているかのように、なかなか111円台に向かって上がっていかない。
それでもドル円は大きく値崩れすることもなく、ドル相場は総じて堅調だったといえよう。ユーロドルはまた1.15台まで下がってきて、再び今年の最安値をアタックする状態に至っている。
今晩はマーケットに影響を与えそうな重要指標はない。そこで注目はリスク動向のありようとなる。リスクを明確に表すものとして株価があるが、株価はここ最近、軟調の度合いを増している。これは素直にドル円やユーロ円の売り材料である。
しかし同じリスク性に敏感なものとして原油価格もあるのだが、こちらは昨日の大幅な在庫減少もあって、7年半ぶりの高値をつけている。原油の方はイラン問題など、特殊性の高い状態にあるものとみなして、あまり参考にしない方がよさそうだ。株価とは正反対の動きをしているからである。
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