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田向宏行
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持田有紀子の「戦うオンナのマーケット日記」

新興国通貨の値下がり激しい、
古い経済理論ではやはりドル安要求に

2018年08月07日(火)15:55公開 (2018年08月07日(火)15:55更新)
持田有紀子

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 ユーロや日本円、英ポンドなどといった主要通貨での対ドル相場がメインの為替相場であるが、新興国通貨と言われるものの値下がりが激しくなってきている今日この頃である。

 IMFに資金を要請したアルゼンチンや、ストライキでロジスティクスがワークしなくなったブラジル、そして1万パーセントを超えるインフレ率を記録しているベネズエラ。

 こうした中南米諸国での通貨においては、逃避的な資金会費が起こって通貨安となっている。また政治的にはイランとの核合意破棄による制裁復活を控えて、イランも通貨安。過去の最低水準の通貨価値となっている。同じ理由でトルコとの制裁措置も、トルコの通貨安を誘引している。

 トルコは利上げをして急場をしのごうとしているが、それが国民生活を苦しめていることに変わりはない。管理通貨絡みでは中国の人民元が大きい。アメリカサイドからは通貨安誘導だとも聞こえてくる。関税に関連した報復措置の一環とも取られかねない状況である。

 要するにグローバルに見ると、米ドルが最強通貨となっているのである。ドルという通貨の性質上、仕方のない面もあるが、それを円やユーロに負担の分担を求めたくなるトランプ大統領の政治的な立場も理解できる。

 ところで最近は購買力平価という言葉が聞かれなくなった。これはドル円などの為替レートはいくらくらいが妥当なのかを議論するものである。実際の相場とズレていても仕方のないものである。

 これが議論されるようになるときというのは、おもに円高局面である。ドル円が80円を割り込んだりしてくると、きっと都合が悪い人が多いのだろう。すぐに「購買力平価から見れば」という理屈で、もっと円安水準が妥当だと主張するのである。

 購買力平価の代表的な考えで、ビッグマックがいくらなのかという考えがある。ビッグマックならば世界中で売られている。比較するならば、もってこいである。また一般人の手にも届きやすいし、そんなに頻々と値段が変わるものではない。

 アメリカではビックマックは5ドル台だ。日本円に直すと600円以上もする。とても高い。これじゃあアメリカ産の商品は売れないよねというのが、古い経済理論の要求することであり、またトランプ大統領も憤慨している点だ。

 トランプ大統領は無茶苦茶なことを言っているようにも感じるかもしれないが、どこで買っても同じ味、同じ商品である。ドル円が65円とかまで下がらないと、日本で売られているビッグマックの価値には追いつかないのである。

 そもそもアメリカは物足りないといえども、ちゃんと物価上昇している。だから米ドルはインフレ通貨の側面を持っている。他通貨のインフレ度が低いと、その傾向はますます強まる性質を持つ。その物価の上昇加減の調整が、為替相場を通じて行われるとみるのが、ファンダメンタルズ面を重視した購買力平価というものであろう。


日本時間 16時00分


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