昨日のアジア時間では、マーケット全体が小動きだった。それは日米の貿易協議に向けての様子見という意味合いもある。アメリカが対EUや中国で抱えている貿易問題の解決を見いだすための一助にもなるのではないかとの期待もあろのだろう。
しかし日本側から見れば、できることは限られる。1990年代のガット・ウルグアイ・ラウンドのような時期だったら日米のFTA交渉も重要性があったのだろうが、今となってはTPPのテーブルに戻ってこいとしかいえないのが政治的な立場であろう。
いわば戦争はもう懲りごりだということで国際的な平和協定を締結した後に、そこから脱退して別の枠組みを模索するというようなもので、流れにそぐわない。それと同じ理屈である。
すでに決まっている軍用品の購入とか、アメリカ国内でのインフラ整備事業にお金を出すのが、日本が持っていける提案である。これをどのように出すかだけの問題である。だから貿易戦争に一石を投じるものにはありえない。しかしマーケットは今年のレンジの端っこにきて、材料待ちをしているものがある。
史上最高値に接近している米国株と、昨日も下がったユーロドルである。特にユーロドルは今年の最安値に接近しており、世界的なドル高の傾向を助長することになるかもしれない。そうなるとまたトランプ大統領がツイッターで懸念を表明する可能性も出てきて、市場の不安定要素が増すことになる。
海外市場ではユーロ安が進んだ。ユーロドルが1.15台に要るだけでも、 今年の最安値である1.1508が視野に入ってくる。1.14台へのトライを意識せざるをえない。昨今のポンド安の流れもあって、同じ欧州通貨という意味でもユーロも頭が重い展開が続いていた。ニューヨーク時間の午後にはユーロドルは1.1530近辺まで下がってきて、それまでの間はほとんど戻りらしい戻しを作らなかった。
それと同じ動きを示したのがユーロ円であった。欧州時間からただひたすらに下げる一方。激しくはないものの、ドロっとした下げを演じることとなった。今のところ128円ちょうどを完全に割り込みきれていないが、時間の問題のような気もする。
日米会合は今晩も2日目の協議を行うらしい。いまのところ新規な材料は出てきていない。アジア時間ではややリスク回避的な動きも見えるが、本格的な動きは今晩のニューヨーク午後からであろう。
日本時間 15時30分
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