アメリカの予算が話題になった先週だったが、そもそも政府がシャットダウンしてしまうというのは、政府部内にお金が足りないからである。最近は貿易赤字にばかり目が行っているが、そもそも論からすれば財政赤字のほうが問題は大きい。
財政赤字が目立って議論されなくなってきているのは日本でも同じであって、赤ちゃんから老人まで一人あたり1千万円級の借金ができていても誰も不思議がらないでいるのが実情である。
財政問題がルーズになってきているのは、その賄い元である国債の発行などにも見られる。国債は国の借金だ。いつしか先進国は財政が赤字となるような時期が出てきて、それが国債発行ということで社会を騒がせた。日本でも建設国債ならばいいが、赤字国債はダメだという議論が長くされてきたのは記憶に新しい。
アメリカの赤字国債も4半期ごとに発行されるようになって、それはクオーターリー・リファンディングと呼ばれてマーケットのイベントにもなった。大量供給される中で、市場の需給を測るためでもある。
それが今や月一の頻度を通り越して、ほぼ毎週の発行となっている。これは日本も変わらない現実である。低金利政策が続く中で、借金の借り換えにも不感症になってしまっているのだ。
ともかくもトランプ大統領による事情事態宣言が出たこともあって、予算も通過し、目先の政府のシャットダウンの懸念は遠のいた。また北朝鮮との会合を控えて、世の中は楽観的である。どうせ核兵器の廃棄などできないというコンセンサスがあるためだろう。
そもそもベースになっていた検証可能で不可逆的な行程を示すという作業を、誰も期待していないし、話題にものぼってこない。ただ単に北朝鮮と仲良くやっていこうという弱腰とも取られかねない姿勢で一貫している。そしてこれも地政学的リスクの減退と見なして、マーケットでのリスクテークを促している。
今週は大きなイベントが少ないが、リスクの巻き返しがどこまでかなのかを見極める週となる。ドル円は先週には111円台まで上がったが、再びトライすることがあるのかどうか。米国株はここからさらに一段高する余地があるのかどうか。今日はアメリカが休みで市場参加者は少ないが、薄い分だけ要注意とも言えよう。
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