昨日は世界経済のマイナス要因の材料が相次いだ。まずはトランプ大統領がEUに対して報復関税を課したこと。これは欧州エアバス社の飛行機が補助金を受けていることが、貿易の公正さを欠くとしたものである。
またIMFが世界経済の成長見通しを0.2ポイント分だけ下方修正した。これらは前からわかっていたことなのだが、米国株が8連騰した後でも会ったのでリスク回避要因となった。ちょうどよい利食い売りの口実を与えたとでも言おうか。
ニューヨークオープン前の出来事だったが、トランプ大統領の発言でドル円は少し軟調になって、IMFの話しが伝わってくると111円台割れを意識する動きとなった。最近は為替相場に動きがとても乏しい。
そうなると、為替レートの大台が変わること自体が、大きなイベントのように思えてしまう。大して動いてもいないのに、何かやらないと置いていかれるみたいな気にさせられてしまうのだ。結果的にはニューヨーク序盤でのドル安値レベルが、その日のドルの安値圏を形成することとなった。
またBREXITの延期を求める首脳会談も開かれていたが、ことここに至るとドイツもイギリスもある程度の延期は認めないといけないところだ。そこで再延期しても何も事態は進展しないと思いながらも、6月末までの離脱延期を了承。EU大統領においては1年間の延長もありうると表明している。
これらが重なり、ニューヨーク時間ではマーケットはややリスクオフに傾いた。米国株は大崩れこそしないものの、重い展開を強いられた。ニューヨークのコアタイムでは、やはりドル円もユーロドルも20ポイントほどの狭い値幅に終始した。
今晩はアメリカのCPIだけ。金融政策の緩和局面なので、インフレ指標は完全に軽視されることとなる。また夜中にFOCMの議事録も出るが、世の中が騒ぐほど議事録には新規なものは期待できない。そもそもFOMCの直後には声明文も発表されているので、それを越えた内容のものが出てくるはずがないのだ。
あまりにも為替相場が動かないために、言うに事欠いて「議事録に注目」などと言うしかないのだろうが、見ないでいいものは見ないで労力を省くべきだろう。注力すべき対象はもっと他にある。
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