先週の金曜日は朝にメキシコへの関税が報じられて、早々にリスク回避の動きが強まった。グローベックスでの米国株の下げはもちろんのこと、日本株も大きく下がって東京オープンを迎えた。
リスクオフは為替相場にも及んで、これまで109円台の中盤で下げ渋っていたドル円もようやく下げ圧力にさらされることとなった。ドル円が108円台に沈むと、日経先物も20500円台に突入。日本株はそのまま安値けしてしまった。
これまで鉄板のように見えた109円台の前半のビッドであったが、それが解消されたということもあって、私もようやくドル円の売り出動。朝のレベルから比べるといかにも出遅れ感はいなめないが、トレードで勝負しているのだから損をするわけにもおかない。ある程度の安全運転も大事なのである。
108円台に突入したからといって、そこでドル円ショートが安全だという保証は何もない。急激なショートカバーに見舞われるかもしれない。このまま下向き圧力が増大するだろうというのは、あくまでもサポートをした抜けしたという教科書的な話しなのである。そこで109円台に戻ったらすぐにでも買い戻すような守りの姿勢も必要となってくる。
ニューヨーク時間になってもトランプ大統領のツイッターが鳴りやまず、メキシコ批判が止まらない。リスクの逃避先である債券相場は世界的に上昇し、ドイツ債は3年ぶりに歴史的な低水準を更新した。
米ドル金利も低下が著しくなり、10年ものの利回りは2.13%台まで低下してきた。米国株も大きな一段安はしなかったものの、安いところで低迷。そのまま安値引けしたといってよかろう。
ドル円はほとんど一方的に下げる展開となった。ただしドスンとくるような投げ売りストップの誘発という局面はなく、下げのスピードも緩慢だった。私はいったんニューヨーククローズ間際でショートポジションをクローズしたが、これは今週以降も下げ傾向が続くものとして臨んだ方がよさそうである。
そもそもメキシコとカナダはNAFTAの協議でアメリカと妥結したはずである。それなのにまた追加関税が問題になることなど、まったくマーケットの眼中になかったといえよう。それが先行きの不安感を増幅しているのだ。NAFTAもその字の表すように、自由貿易のための協定である。
フリートレードを標榜しているのに、なぜ関税が出てくるのか。そのへんの不明瞭さも市場を混乱させている要因だ。どこまで行くのかわからないからだ。いましばらくリスクオフの状態が続くと思って構えておきたいところだ。
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