昨日は欧州序盤のドラギ総裁の発言がマーケットを動かした。つい先頃まで量的緩和の停止などと話していた同じ口から、今度は追加の緩和の話しが出てきたのだ。すでにマイナス金利であることも肯定している。それがユーロを直撃した。ユーロ金利はただでさえ低いのに、さらに低下。
それを好感して欧州株は急伸に向かった。ユーロ安は避けられない。ユーロドルは1.11台に突入した。大台が変わったから大きく愚おいたようにも思えるが、50ポイントほどしか下がっていない。まあ最近はユーロも小動きが続いていたので、これでもショックの部類に入るのだろう。
ドル円は基本的なレンジの中でウロウロ。ここ1週間は一度も108円台を外していない。方向感が見えてこないのは、やはりFOMCを控えているからであり、来週にはG20が待っているからだ。利下げ観測をどのように実現のほうに向かわせるのか、また首脳会談などを通じて米中協議はどこまで進展するのかを見極めたいという理由だ。
それで大きくポジションを晴れない状況になってしまっている。今からポジションを作るくらいならば、それらの結果が出てから、経過を見ながらでも遅くはないという投資家心理である。
さて、これまでFOMCでの金利低下を期待して、ドル金利安と株高が進んできた。昨日のマーケットはその最終仕上げの場であった。メインテーマであるドル金利は10年ものの利回りで2.0%割れ寸前まで低下し、米国株は史上最高値にあと1%しかない距離のところまで値を戻してきた。後は今晩の発表後にパウエル議長がどこまで追認するのかを見極める事が重要となる。
すでに短期金利の市場では来年の今頃までに3回分以上の利下げ、すなわち75ベーシスポイント以上の利下げを織り込んでしまっている。それが前提となって取引されているのだから、大幅利下げは完全に織り込まれているといってもいい。それだけ織り込んでおいて、なぜ今回の6月会合でさっそく利下げをしないのか。
地ならしが必要だと言うことで声明文のあり方の方が重要だという見方もあるが、その一方で7月利下げを主張してやまない声もある。それはイレギュラーな時期での金融政策の変更であり、これまでFEDが重視してきた「一定のペース」でやることに反することでもある。そうしたモロモロの不確かなことをパウエル議長はどう説明するのか。大注目である。
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