米ドルの短期金利の先物価格を見ると、今後1年間でどのくらいの利下げを織り込んでいるかがわかる。実際にお金の動く取引なのでヘッジの対象にもなっているわけで、価格に織り込まれた金利をベースにして世の中は動いてしまっているのである。
年内には75ベーシスの利下げを見込んでおり、その後の半年ではさらに50ベーシスポイントまでの利下げを織り込んでいる。次の9月のFOMCでは50ベーシスの利下げをすると考えるのが至当であろう。
だとすると前回に述べていた「中長期的なサイクルの中での調整」といった文言をどう説明づけるのかが問題となる。やはりダウントレンドという大きな流れの始まりだったと認めないといけなくなる。調整のままだったら25ベーシスの利下げ幅で十分だと考えられるからだ。
そしてパウエル議長の立場を困難にしているのはそうした文言の整合性の他に、今回に50ベーシスの利下げを行ってもトランプ大統領はFRBの金融政策に対して不満をぶつけてくるだろうということである。すでに「1%は下げるべき」とか言っているのだから、50ベーシスの利下げだったら早速に文句をつけてくるだろう。
「利下げサイクルの始まり」だと変更するには、「国内景気は良い」としたアウトルックも変更を迫られる。すでに「予防的」ではなくなるからだ。だとするとどの経済指標を指して景気が悪いのだと言いつくろうのか。それもポイントである。
パウエル議長の講演は明日の夜の23時からであり、それまではマーケットも大きく動くきっかけに乏しい。昨日もユーロドルは1日を通じても30ポイントほどしか動かなかった。今日も同様に様子見姿勢が強まりそうだ。あと24時間くらいは私も鋭気を養っておくことにする。
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