ECBが金融緩和に動いた。銀行などが中央銀行に預ける金利を10ベーシスポイントだけだが引き下げた。いわゆるマイナス金利の深掘りだ。そして去年の10月に停止したはずの量的緩和を、来月から再開するとも決めた。
テイパリングは1年も持たなかったわけだが、量的緩和にまで踏み込むのは予想外に積極的なアクションだった。しかし資産買い入れの額は200億ユーロまでと小規模にとどまっている。またフォワードガイダンスには期限を設けていたのだが、それを撤廃して効果が出てくるまで継続する意思を表明した。
市場の反応としては、最初はユーロ買いで対応した。最初は何を発表したのかわからないため、この動きを見て緩和姿勢に疑問が出るような内容ではなかったかと考えるしかない。ユーロドルを私も買ってみようかと思って手を出しそうになったところ、急激に下がってきたのだ。
5分も持たずにユーロ売りに転じた。ユーロドルは1.09台の前半まで下がったのだが、今年の最安値である1.0930あたりを意識した振る舞いとなり、1.0940くらいでもんでいる。
今度は下抜けしたらユーロ売りに励もうかと思ったが、結局のところ、ここを底にして後は大きく反発に向かったのである。ユーロドルは100ポイントも急反発し、そのまま下がらずにニューヨーククローズを迎えることとなった。
ドル金利はユーロ金利と同じような動きを示し、ECB後のファーストアクションでは金利低下だった。しかしニューヨーク時間になると株高に伴った債券売りが主流になって、ドル金利は大きく上昇して1日を終えることとなった。ドル円は108円台に完全に戻しきっての終了となった。
あまり面白くはない動きをした相場であったが、トランプ大統領はさっそくFRBに圧力をかけている。ユーロの緩和のせいでドル高が進んでしまっているというのだ。来週のFOMCでは25ベーシスの利下げだろうというのが市場のコンセンサスだが、これをもっと深くできるのかどうか。
それがやりにくいくらいに米国株は史上最高値に近づいており、そのうえ昨日出たインフレ指標などはやや高めに推移してきているのが利下げをさらに困難なものにしている。
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