先週の後半では為替相場でクロス円の安さが目立った。クロス円といってもたくさんの通貨ペアがあるのだが、その代表はユーロ円である。そもそもが日本円の価値を表すのがクロス円なのだ。
したがって、ドル円だけでもいいではないかという考えもある。ただ過去数十年の過程を振り返ると、大きな相場の流れを決定するような動きはまずはユーロ円に先発して見られるという傾向がある。
最近のようにドル円が106円台から108円台にスタックしているようなとき、もしくはもっと長い目で見れば101円台から112円台くらいでボックス圏を形成しているようなときに、次の大きな流れがどちらに走り出すのかを推定するのに役立つのである。
そうした意味では先週末のユーロ円の115円台への突っ込みは、新しい局面の訪れかと思わせた。金曜日のユーロ円の安値は115.55までだったのだが、これは3年ぶりの安値圏である。
この後にドル円も追随してくると想定したら、100円割れの円高方向が見えてくる。円高は容易にリスク回避を促すものである。クロス円の動向次第では、5月にも株価の2番底はありうるかもしれない。
これは逆の考えかたもできるわけで、クロス円が底打ちを先に示し、その後でドル円が上昇トレンドに向かうというのである。1996年の円高局面でも、2012年の民主党政権末期のときも、70円台という円高水準からの脱出はユーロ円のほうが先に反転を示していた。
金曜日のマーケットではユーロ円は115円台を脱し、116円台でニューヨーククローズを迎えている。これで底打ちということになれば、ドル円も徐々に上げ圧力が加わってくることになろう。
それはドル金利への上昇期待がきっかけになるのかもしれないし、コロナウイルスの沈静化が市場に安心感を与えるからなのか、理由はわからない。よって今しばらくはユーロ円の値動きには要注意となるのである。
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