先週の金曜日は為替相場ではややドル安の流れが強まった。米国株が史上最高値を手前にして足踏みしている上に、ドル金利も停滞。週内に見られた散発的なドル買いのポジションは、解消せざるをえないような状況に陥ったのである。だからといってドルの深押しが見られたわけではない。ここ最近のドル高のトップと思われていたところを、ようやく脱出できたという感じだ。
アメリカの経済指標の中で、小売売上高があまり良くはなかったのが原因である。市場が期待したほどのV字回復は見られなかったのだ。また中国との貿易交渉の合意第1弾の検証会議が無期延期になったのも、米中対立の弊害を匂わせ、マーケットのリスク回避要因になりつつある。
ところで株は実体で買うか、期待で買うのかという議論がよく成される。言い換えればバリューに従って買うのか、それとも足下は赤字であるのがわかっていても将来に利益が上がるのではないかを見越して先行買いするのか、ということである。
そうしたバリュー株かグロース株かの議論は、いまのところ、つまり目下のコロナ感染の拡大状況の中においては、期待先行のグロース株に軍配が上がっているようである。
これは世界中の代表的な株価指数を見てもそうなっているし、またハイテク中心に編成されているナスダック指数のような値が吹き上がっているのでもわかる。こうした流れが今後も継続するという保証はないが、少なくとも単純に割高だ、割安だといった議論に持ち込むのは危険である。
米国株は高止まりしている。この形としてはグロース系が買われ、バリュー系が遅れている感じ。これはナスダック指数が先走って史上最高値をつけてきているのでもわかる。ナスダック指数をS&P指数で割ったものを時系列に並べてみると、それがITバブル当時の水準まで上がってきていることに気づく。果たして現状だけが特別な状況なのかどうか。それとも歴史は繰り返すのか。
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