西原宏一氏といえば、ザイFX!では、有料メルマガ「トレード戦略指令!」を配信しているほか、人気コラム「ヘッジファンドの思惑」やフリーアナウンサー・大橋ひろこさんとの対談コンテンツ「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でもおなじみです。
【参考コンテンツ】
●FXトレード戦略指令!
そんな西原宏一氏が執筆した著書が『ザイFX!×西原宏一が教える FXトレード戦略 超入門』(ダイヤモンド社、定価1600円 + 税)です。
【参考記事】
●西原宏一氏とザイFX!のタッグで実現! FX猛者も納得の「超入門書」の中身とは?
西原宏一氏の経験に裏打ちされたFXトレードに対する心構えやテクニックなどがギュギュっと詰まっているこちらの本ですが、今回はその中でも西原式トレード戦略の基礎が学べる、第1章~第4章とEpisode0を複数回に分けて無料公開します。
これからFXトレードをはじめようと思っている人はもちろん、すでにトレードしている人にも参考になる内容が盛りだくさんなので、ぜひご覧ください。
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極論を言えば、FXは勝てばいい、儲かればいいわけですが、“運”がいつも味方をしてくれるわけではありません。そこで必要なのが“戦略”です。
1章ではまず、トレード前に僕がどういう思考をたどっているのか、トレード戦略のアウトラインについてお話していきます。トレード戦略と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実はとてもシンプルなのです。
値動きを追いかけるトレードでは勝てない
小さな子どもたちのサッカーを見ていると、気がつくことがあります。フィールドに散らばった10人が一斉にサッカーボールをめがけて、あっちへ行き、こっちへ行きと右往左往しているのです。
「今はその空いたスペースで止まって、パスを受けたほうがチャンスになるのに」
そう思っても、子どもたちはただひたすらボールだけをめざします。子どもたちのレクリエーションですから当然ですが、ちびっこサッカーに勝つための「戦略」はありません。
では、あなたのFXはどうでしょうか。
「上がってる! 買い!」「下がっちゃった……じゃあ売りか」と、値動きを追いかけるトレードになっていないでしょうか。FXでは、なんとなく取ったポジションで利益が出たりします。しかし、雰囲気だけでトレードしていたら、いつまでたっても儲かるトレーダーにはなれません。
FXを長く続けるため、そして儲けるためには、「相場の見通し」と「そのとき自分はどう動くか」というシナリオ、すなわち戦略が必要です。
もちろん、戦略通りに利益をあげられないこともあります。しかし、戦略を立て、実行することで、“想定外の負け”はなくなるはずです。
チャートが示す値動きは嘘のない事実
僕のトレードスタイルは、一般的に「トレンドフォロー」といわれるものです。日々、行なっているのは、トレンドを探し、転換点はどこにあるのか、トレンドはいつまで続くのかの検討です。それは、大きく次の3ステップで考えていきます。
1 チャートで事実としての値動きをつかまえる
2 為替情報を読む
3 チャートで先読みする
各国の経済動向やイベントなどファンダメンタルズの情報をチェックし、その後、チャートを見て……という人が多いかと思いますが、僕は完全に逆の流れをたどります。
まずは、何をおいてもチャートです。チャートを見て、トレンドはどちらの方向に、どの程度の強さで出ているのかをチェックし、取引チャンスを探します。そして、そのあと、ファンダメンタルズで裏付け確認をしていくのです。
もちろん、ファンダメンタルズの要因が、トレンドを押し進めるということはよくあります。
例えば、2012年からの米ドル/円の上昇トレンドはアベノミクスと黒田バズーカという推進力がありました。
2014年のユーロ下落もやはり金融緩和がきっかけでしたし、豪ドルの下落は中央銀行の総裁が「豪ドルは高すぎる」と繰り返し発言していたことで売られたからです。
2016年の英ポンド下落はEU離脱という歴史的イベントを警戒してのことでした。
しかし、こうしたマーケットを動かす大きな“旬のテーマ”は、年に1~2回、あるかないかです。世界経済には絶えず、さまざまな出来事が起きています。上がる材料もあれば下がる材料もある。すでに流通している情報は、結果に対しての後付けの理由が多く、また、不確実な情報も少なくありません。
しかし、チャートが示す値動きは、背景がなんであれ、嘘のない事実。僕はまず、そこから始めています。
ポジションを取るのは「負けの確率が低いとき」
チャートでチャンスがありそうな通貨ペアを見つけたら、ファンダメンタルズの裏付けを確認。
再びチャートに戻り、利益をあげられそうであれば、どこでポジションを取るのか、シグナルを探すことになります。
ほとんどの方はここで、「どこまで利益を出せるか」を考えるのではないでしょうか。しかし僕は、ここでも逆の思考をします。ターゲットよりむしろ、リスクについて徹底的に考えるのです。
ストップ注文(逆指値)はどこに置けるのか? ストップ(注文)までの幅から考えて、どのくらいのレバレッジが適切なのか?
そのトレードで「どのくらい、やられるのか」を把握するのです。もし、リスクが把握できないと判断したら、どんなに値動きがありそうな相場でも手を出しません。ディールは確率論です。僕がポジションを持つのは、「儲かる確率が高いとき」ではなく、「やられる確率が低いとき」。難しいマーケットでいかに勝つかという困難に、わざわざ立ち向う必要はありません。 「負けないFX」が結果として儲かるFXとなります。
僕のトレードも特別なことをしているわけではありません。トレンドを探し、トレンドに乗る。そして、失点を極力減らす――。とてもシンプルですが、それが僕のトレード戦略のキモなのです。
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セオリー通りいかないファンダメンタルズ
まずは、チャートから始める――。先にそう言いましたが、僕は決してファンダメンタルズを軽視しているわけではありません。
毎朝起きれば、録画しておいたテレビ東京の『Newsモーニングサテライト』を見ますし、ブルームバーグやロイターなどのニュースも欠かさずチェックしています。
また、国内外の友人とは常に情報交換を密にして、市場の新たなテーマにアンテナを張っています。
しかし、ファンダメンタルズ分析はマーケット参加者の心理を読むなど、値動きの背景の確認のため。ファンダメンタルズだけでトレードすることはありません。
なぜなら、ファンダメンタルズのセオリー通りに相場が動くとは限らないからです。
例えば、2016年11月のアメリカ・トランプ大統領誕生後の相場。投開票前までの日本のメディアの論調は「ヒラリー候補優勢」で、「万が一、トランプが大統領になったら100円割れの円高」というものでした。
しかし、結果はというと、まさかのトランプの当選。そして、トランプラリーが始まりました。
このときのトレードについては5章(※以下の参考記事をご覧ください)で詳しくお話ししますが、僕はトランプ大統領誕生直後から米ドル/円のロング(買い)ポジションを取りました。なぜなら、「チャートが示していたから」です。
【参考記事】
●FXトレード戦略「超入門」を無料で公開!西原宏一氏がトランプ相場で勝てたワケは?
チャートが、ファンダメンタルズを先回りすることは珍しくありません。ファンダメンタルズ分析は大切です。しかし、それに固執することなく、チャート=事実に従って柔軟に動くことがトレーダーには必要なのです。
時間軸を落とすとチャートは別の“顔”になる
チャートからトレンド探しをしているわけですが、トレンドに乗ると何がいいかといえば、「安く買って高く売る(Buy Low, Sell High)」「高く売って安く買い戻す(SellHigh, Buy Low)」がたやすいからです。
しかし、相場は「トレンド相場」と方向感のない「レンジ相場」を繰り返すもので、チャートがきれいな「上昇トレンド」や「下降トレンド」を示すことは稀。
大げさに言えば、相場の8割は上がったり下がったりの方向感のないレンジ相場です。
大きなトレンドが出ているときだけトレードをするというのも、ひとつのスタイルでしょう。しかし、それではあまりにトレードチャンスが少なすぎます。
そんなときは、チャートの時間軸を落としてみてください。週足や日足から4時間足、1時間足……とより短期へと切り替えると、チャートの“顔”が変わっているはずです。
日足で見ていたときには、明らかに一定の値幅の中で行ったり来たりしていたローソク足が、トレンドを示していたりします。
長い時間軸で値動きを俯瞰して見ていたのを、時間軸を短くし視野を絞ることで、小さなトレンドをつかまえることができるのです。
「押し目」「戻り」を丁寧に拾っていく
アベノミクスやBrexitのように、強いトレンドが出ていれば、多少、エントリーが甘くても、トレンド方向に素直に乗るだけで儲けることができます。
しかし、こうしたマーケットの“旬のテーマ”によって動く大きなトレンドは、そうそうありません。
トレンドに乗るとはいえ、「どこで入るか」は丁寧に考える必要があります。
どこで入るか? 狙うのは上昇トレンド中の「押し目」、下降トレンド中の「戻り」です。
押し目とは上昇トレンド中の安値、戻りとは下降トレンド中の高値のこと。
押し目や戻りで入れば、ひとつのトレードから効率よく利益をあげることができますし、高値や安値をつかまされることもなくなります。
押し目や戻りを見つける、その具体的な方法については、2章にて紹介していきますが、注意してもらいたいことが1点あります。
押し目や戻りをつけたからといって、すぐにエントリーするわけではない、ということです。
エントリーは「押し目」「戻り」を確認してから
トレンド中の押し目や戻りだと思っても、そのまま反転下落、あるいは反転上昇してしまうかもしれません。
ポジションを取るのは、上昇トレンド中なら、押し目をつけて、再び上がっていくのを確認してからです。
下落トレンド中であれば、戻りをつけて、再び下がり始めてからが、エントリーポイントとなります。
丁寧にエントリーポイントを探っていくことで、チャンスを効率よく利益につなげることができるのです。
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「儲ける」ということを誤解していませんか?
シティバンクに入行して最初に聞かれたことがあります。
「ニシハラ、ポーカーは好きか?」
上司がポーカー好きで一緒に遊ぶ仲間が欲しかったわけではありません。ギャンブルを持ち出すと誤解を招くかもしれませんが、ポーカーもFXも、リスクを取りながら資金を増やしていく勝負事という意味では共通します。ポーカーの経験があればリスクの勘どころはあるだろう――上司の質問にはそんな考えがあったのだと思います。
ギャンブルにたとえるのが適切でないとすれば、企業経営に置き換えて考えてみてください。新規事業に着手し、絶対にイケる! そう思ったとしても、優秀な経営者ならば、万が一のリスクは必ず考えています。その事業の失敗で会社が傾くような経営戦略は取らないはずです。
どんなに優秀なプレイヤーでも勝率100%ということはありえません。負けはつきものです。その負けをどう抑えるかが、重要なのです。
儲けることへの誤解があるのかなと思うのは、多くの人はたくさん儲けることを考えがちです。しかし、大量に得点しなくても、0点に抑えられたら1点取るだけで勝ちになる。負け、すなわちリスクの管理でFXは勝てるのです。
ポジションを取ることとストップはワンセット
僕は『ザイFX!』から、『FXトレード戦略指令』というメールマガジンをほぼ毎日、配信しています。
そこである日、次のようなメールを配信しました。
「エントリーを考えたのですが、イベントを控えてストップの位置を決めきれず、スクエア(ポジションを持たない状態)のまま」
ある通貨ペアのチャートがいい形をしていたのですが、その通貨では大きなイベントを控えていました。そのため、買ってもイベントによる乱高下でストップがついてしまう可能性を考え、エントリーを見送ろうという判断でした。
僕はエントリーする前に、まずはストップの位置を決めます。逆に言うと、ストップが決められないトレードはしません。
FXにおいてのリスク管理には、値動きに対するものと、資金におけるリスク管理があります。ストップの設定が値動きに対するリスク管理となるのです。
よくセミナーなどで、「損切りができないんです」という相談をいただきます。
人は弱いもので、「明日になれば……」と淡い期待を抱き、自ら損失を確定することがなかなかできません。
銀行の為替ディーラーには上司がいて、含み損が枠を超えたら、否応なしに損切りしてくれますが、個人投資家にはそんなお目付役はいません。
だからこそ、ストップの逆指値注文を発注して、機械に冷酷に切ってもらうのです。
GMOクリック証券のように、事前に設定しておくことで新規注文と同時にストップを自動的に発注してくれる機能があるFX会社もあります。
また、とりあえずストップを置いて、あとで再考してもいい。ポジションを持っているときは、ストップは常に置かれている状態であるべきです。これは今すぐ、習慣にしてください。
ストップが決まるから、取引量も決まる
僕がエントリー前にストップの位置を決めるのは、ストップまでの幅が取引量にも関係するためです。
「いつも、1万通貨でトレードする」と決めている人もいるでしょう。しかし、それではあまり効率的とはいえません。1万通貨で取引をして、ストップまでの幅が30銭なら損失は3000円です。
しかし、もしストップまでの幅が3円だとしたら、損失は3万円。リスクは大きく変わってしまいます。
取引数量を固定するのではなく、「損失は口座資金の3%」といったように、損失額を基準に考える。
そうすると、リスクが常に一定となり、口座管理がしやすくなります。
また、「損切りまでの幅が狭いときは取引量を多く」、「幅が広いときは取引量を少なく」と柔軟的に考えることができます。
許容できる一定のリスクで、損切り幅が狭いときには取引量が大きくなり、狙える利益も大きくなる。
反対に、損切りまでの幅が広いときには取引量を小さくし、無駄に大きなリスクを背負わずにトレードできます。
損切り幅に応じて、取引量を調整していくことで、取引の効率が上げられるのです。
FXでは「どのくらい稼げるか」を自分で決めることはできません。しかし、「最大、どのくらい負けるか」は、ほぼ、自分でコントロールすることができます。それには、とにもかくにも、ストップの設定なのです。
(ザイ投資戦略メルマガ事業部)
(「【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】「トレード戦略」の道具としての「チャート」を学ぼう!」へ続く)
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