(「【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】西原式FXトレード戦略とは?」から続く)
トレード戦略の第一歩は、マーケットを俯瞰して大きな流れを踏まえ、トレンドをつかまえること。トレンドに乗ったら、転換や反転の兆しを読み解きながらリスクを避け、利益につなげていきます。
2章では、テクニカル分析を使ったトレンドの見つけ方、より効率のいいエントリーポイントの探り方を解説していきます。
相場の方向感を一目で教えてくれる
FX戦略を考えるうえでの第一歩は、トレンドを見極めること。それが“事実”として表れているのがチャートだとお話ししました。
チャートのテクニカル分析ツールはさまざまありますが、相場の方向感をわかりやすく教えてくれるのが、テクニカル分析の基本中の基本、単純移動平均線(SMA:SimpleMoving Average)。
移動平均線は、ある一定の期間の終値の平均値を結んだ線で、チャートに表示させた移動平均線が、「誰が見ても上向きだろう」という形ならば上昇トレンド。反対に、「誰が見ても下向き」ならば下落トレンド。
その通貨ペアが買われているのか、売られているのか、あるいはレンジ相場にあるのかを、パッと見ただけで教えてくれるのが移動平均線です。
多くの人が使えば、それだけ節目になりやすい
移動平均線を紹介すると、必ず聞かれることがあります。「パラメータはどう設定しているのですか?」
最終的には個々人の好みなので、いろいろ試してみてほしいのですが、僕が使っているのは3本。
「21」「75」「200」に設定した移動平均線です。位置付けとしては、「21」が短期、「75」が中期、「200」が長期ということになります。
どうして、その数字なのかというと、「多くの人が使っているのが、この数字だから」というのが、もっともシンプルな答えになります。
多くの人が利用していれば、その分、相場の節目になりやすくなります。移動平均線は、マーケットの“目線”を見るものですから、多くの人と同じ眼差しのほうがいい。だから、「21」「75」「200」という設定なわけです。
長期の移動平均線として注目している200日線は、約1年間の営業日である過去200日の平均値となります。
また、この200日線は移動平均線分析の第一人者であり、「グランビルの法則」で知られるジョセフ・グランビルがもっとも好んだパラメータだそうです。
21は、中途半端な数だと思うかもしれませんが、「フィボナッチ数列」のひとつです。フィボナッチについてはあとで解説しますが、これもまた相場で意識される数字です。
ただし、有効なパラメータや分析方法は変わっていくものです。移動平均線に限らず、テクニカル分析は、自分で検証してみて、「使える」と判断したものを使うのがベストだと思います。
ローソク足と移動平均線の位置関係を見る
さて、3つの移動平均線ですが、まずチェックするのは、移動平均線とローソク足の位置関係。「ローソク足が移動平均線より上にあるか、下にあるか」です。
日足のチャートに示した200日線は、長期の移動平均線でマーケットの大局を教えてくれます。ローソク足が200日線より上にあれば、基本的には買い目線だということになります。
逆に、ローソク足が200日線より下にあるようでしたら、売り目線。
あまり強いトレンドが出ていないときは、ローソク足は200日線をはさみながら上下にウロウロします。方向感のない勝ちにくい通貨ペアにわざわざ手を出す必要はなく、「しばらく様子を見よう」という判断ができるわけです。
長期SMAで大局を中期SMAで節目を判断
ただし、200日線など期間が長い移動平均線は、ローソク足の動きから遅行します。
トレンドが始まっても傾きをなかなか変えないし、ローソク足から離れた位置にあることも多いため、上抜け・下抜けに時間がかかることも少なくありません。
そこで、より早くトレンドの発生や転換を見極めるために、中期の移動平均線である 75日線を使うのです。
「ローソク足が200日線を下回っていて下降トレンドのように見える。が、足もとでは上げている」といったとき、「75日線を上回っているかどうか」が、戦略を考えるヒントとなります。
75日線を上回ることなく推移してくれば、「200日線で見れば下降トレンドだし、75日線を上回っていないから再び下降してくるだろう」といった判断ができるのです。
日足で説明してきましたが、週足でも見方は同じです。
週足で見る75や200のラインは非常に長期のラインとなります。ローソク足が抜けるのにも、長い時間が必要となります。抜ければそれだけインパクトは大きいのですが、日々変わるものではありません。急騰・急落したとき以外は、週に1回、確認する程度でよいでしょう。
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時間軸を下げて、クロスをチェック
「米ドル/円は移動平均線が明らかに上昇方向を示している!」と、トレンドを見つけたとします。
次に何をするかというと、「どこで入るか」の検討です。
上昇トレンドならば、高値を買わずに、押し目を拾う。下落トレンドなら、安値を売らず、戻りを売るということです。
そこで、チャートにテクニカル分析「MACD」を加えていきます。
テクニカル分析には、大きく分けて、相場の流れを読み解く「トレンド系」と、買われすぎ・売られすぎを測る「オシレーター系」の2種類があります。MACDは移動平均線と並ぶ「トレンド系」の代表格。Moving Average Convergence Divergenceの略で、もともとは移動平均線をアレンジしたものです。
MACDは、「MACD」と「シグナル線」の2つの線と、この2本の線の差を示すヒストグラムで構成されています。
基本的な見方は、MACDがシグナル線を下から上へ抜けるゴールデンクロスになっていたら「買い」のサイン。
MACDがシグナル線を上から下へ抜けるデッドクロスだったら「売り」のサインというものです。
これを、押し目や戻りを探すのに活用するのです。
日足を見て、上昇トレンドだと判断したとします。ただし、高値は買いたくない。そこで、チャートを4時間足や1時間足へと切り替えるのです。すると、日足では見えなかった、値動きの小さな山や谷が見えてきます。
1時間足のMACDがゴールデンクロスすれば、押し目の下落が終わって、再び上昇トレンドが始まる可能性が高いと考えられます。そこで、「1時間足のMACDでゴールデンクロスを待って買おう」という戦略が立てられるわけです。
スピード感優先のディナポリ設定
MACDのパラメータは、通常はMACDが「12・26」、シグナル線が「9」というのが一般的だと思います。でも、僕の設定は少し違います。
アメリカの著名投資家であるジョー・ディナポリに倣って、MACDを「8・17」、シグナル線を「9」と、数値を短く設定しているのです。
一般的にテクニカル分析のパラメータを短くすると、シグナルがより早く出るようになります。が、その反面、ダマシが多くなります。
ダマシとは、「上昇シグナルが出たのに下がった」「下落シグナルが点灯したのに上がった」といったシグナルの誤りです。
より信憑性の高いシグナルを求めるのか? 敏感さを重視するのか? トレーダー一人ひとりの好みやスタイルがあるものです。
パラメータの設定は、やはり実際にいろいろと自分で試してみて決めるのがいいでしょう。
高値づかみ・安値づかみを避けるために
MACDは時間軸を落として押し目や戻りを見るだけでなく、日足で使う場合もあります。トレンドの行きすぎ、過熱感を見たいときです。
テクニカル分析の中でも、買われすぎ、売られすぎを示すのはオシレーター系のテクニカル分析。先ほど、MACDはトレンド系のテクニカル分析の代表格と説明しましたが、オシレーター的な使い方もできるのです。
移動平均線などが明らかに上昇トレンドを示している中、日足でMACDにデッドクロスが出たとします。
このとき、「上昇トレンドは継続するかもしれないけれど、目先の天井をつけた可能性がある」と考えるのです。
いったん反転することも考えられますから、買いポジションを持っていたら、一部を手仕舞い(決済の売り)することもあります。
下落トレンドの途中に出たゴールデンクロスも同様に、「下降トレンドは続くだろうけれど、目先では底をつけたのかも」と解釈。
売りポジションを持っていたら縮小します。
テクニカル分析で客観的な視点を
僕自身は実は、値が上がりだしたら、ドンドン買っていってしまうタイプです。
テクニカル分析は、そんな僕の欠点を抑え、客観的な視点を与えてくれるのにとても役に立っています。
ここではMACDを解説しましたが、トレンドの行きすぎ、過熱感を教えてくれるオシレーター系のテクニカル分析はとても参考になるので、次項で改めて解説します。
(ザイ投資戦略メルマガ事業部)
(「【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】IMMでトレンドの始まり、過熱感を予想するへ続く)
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