2020年11月3日(火)に実施される米国大統領選挙まで、1カ月を切りました。
共和党は現職のトランプ大統領、対抗する民主党はオバマ政権で副大統領を務めた、ジョー・バイデン氏が立候補しています。
途中、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染するという前代未聞のアクシデントはありましたが、入院からわずか4日で退院すると、ツイッターなどのSNSをフル活用しながら選挙戦に復帰し、バイデン氏への攻勢を強めています。
大統領立候補者による第1回討論会では、非難の応酬を繰り広げたトランプ大統領とバイデン氏。投票箱を開けるまで、どちらに転ぶかわからない情勢となっている (C)Bloomberg/Getty Images News
このように、現在、熾烈な選挙戦を繰り広げるトランプ大統領とバイデン氏ですが、前回(2016年)の米大統領選挙がどうだったか覚えているでしょうか?
前回は、圧倒的に優位に選挙戦を展開していた民主党のヒラリー・クリントン氏を破り、トランプ氏が勝利しました。そして金融市場では、トランプ当選なら株安・米ドル安に動くという大方の予想に反して、株高・米ドル高になるという、いわゆる「トランプラリー」と呼ばれる動きになりました。
【参考記事】
●米大統領選挙は予想外のトランプ氏勝利!リスクオフで米ドル/円急落も意外な動き…(2016年11月9日公開)
すべてが予想外の結果でしたが、この難しい相場を読み切り、トランプラリーに真っ先に乗った人物がいました。その人物とは……西原宏一氏です。
西原宏一氏といえば、ザイFX!では、有料メルマガ「ザイFX!トレード戦略指令! with 日経先物」を配信しているほか、人気コラム「ヘッジファンドの思惑」やフリーアナウンサー・大橋ひろこさんとの対談コンテンツ「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でもおなじみです。
【参考コンテンツ】
●FXトレード戦略指令! with 日経先物
そんな西原宏一氏が2017年10月に発売した本『ザイFX!×西原宏一が教える FXトレード戦略 超入門』(ダイヤモンド社、定価1600円 + 税)には、前回(2016年)の米大統領選挙でトランプラリーに真っ先に乗れた理由がバッチリ載っています。
【参考記事】
●西原宏一氏とザイFX!のタッグで実現! FX猛者も納得の「超入門書」の中身とは?
今回は、この書籍に掲載されている西原宏一氏がトランプラリーで成功したトレードのヒミツをまるっと無料公開します!
前回の米大統領選挙で為替相場がどのように動いたのか振り返りながら、西原宏一氏のトレードへの心構えやテクニックなど、成功の秘訣をチェックしてみてください。今回の米大統領選挙を材料にトレードする上でも参考になるアドバイスが載っていますよ!
みんなが思い込んでいた「トランプなら円高」
大きなイベントでは、事前のコンセンサスを知っておくことは基本です。しかし、多くの人の意見が一致していたとしても、それもひとつの予想に過ぎません。
コンセンサスに縛られることなく、マーケットの想定外の動きにも柔軟に対応すべき――そんな思いを新たにしたのが、2016年11月9日のアメリカ大統領選挙です。
覚えている方も多いと思いますが、選挙期間中、日本の論調は次のような見解でほぼ一致していました。
「ヒラリー当選なら米ドル/円は円安へ」
「トランプ当選ならリスクオフで円が買われやすくなり瞬間100円割れも」
投開票前日の米ドル/円は105円付近でした。しかし、開票作業が進み、トランプの優勢が徐々に明らかになると下落して、一時101円20銭の安値をつけます。コンセンサス通りの動きです。
しかし、トランプ当選が確実になると米ドル/円は一転して上昇。予想とは正反対に高値更新を続けたのです。
コンセンサスに従えば、トランプ当選濃厚でショートポジションに傾くのも仕方がないように思います。でも、コンセンサスとチャートが反対の動きを示したとき、当然、チャートに従うべきなのです。
100円の大台が割り込めない
米ドル/円に対して、選挙の2か月前からロング(買い)ポジションを取っていました。
なぜなら、100円が底堅かったからです。100円は心理的にも大きな節目となります。100円が堅いなら、「100円台前半で買い、ストップは100円割れ」という戦略が成り立ちます。ストップが近いためリスクは小さく、一方で大きな利幅を狙っていけたのです。さらに10月に入ると日足チャートでは3本の移動平均線のうち21日線や75日線が上向きとなり、ローソク足はそれらを上抜けていました。
とはいえ、この時点でコンセンサス自体を疑っていたわけではありません。選挙戦前日、僕はメルマガで次のような見通しを配信していました。
「コンセンサスとしては、『もしトラ(もしも、トランプが大統領になったら)』が実現すれば、100円割れ。ヒラリーなら105円といったところ。多くの人がヒラリー勝利を予想しているので、ヒラリー勝利で上がったところには、『セル・ザ・ファクト』の利食い売りが入りそう。ただ、その場合も大きく下げず底堅いイメージ」(2016年11月7日配信)
この見通しに従い、大統領選当日、ポジションはすべて決済。投開票に反応しての乱高下を避けるためです。
開票当日の乱高下も下ヒゲの長い陽線
では、開票作業を見ながら僕は何を考えていたのか。
トランプ優勢が報じられると米ドル/円は101円まで下がり、21日線や75日線を大きく割り込んでしまいます。
しかし、その後、反転上昇を始めました。11月9日につけた安値は101円20銭。
「大惨事」と言われたBrexitの安値99・02銭どころか、100円も割れていません。アベノミクスの50%水準である100・60円までも落ちていませんでした。
やがて反転上昇して、ローソク足は75日線を回復。これを確認し、僕は米ドル/円のロングポジションを取ります。
「75日線を超えたあたりから短期売買でロングにしていますが、少額ドル円のロングをスウィングポジションに。ストップを101円に置いてドル円のロングをキープする予定」(2016年11月9日配信)
ファンダメンタルズを除外して、テクニカルだけで見れば、11月9日の値動きは、陽線が長い下ヒゲをつけただけ。上昇継続と判断できます。
選挙翌日には、ローソク足が200日線も上に抜けて完全に買いの形となったのです。
数日後、大統領選を振り返り、僕はこんなメールを配信しました。
「Brexitの記憶が強かったため、アジア勢を中心に『トランプなら株安・円高』と思い込んでいました。トランプの政策はこれからつめていくのでしょうが、『トランプノミクス』はリフレ派に近い。株高・円安を誘発しやすい政策ですから、そこから考えれば当然の値動きだったのかもしれません」(2016年11月13日配信)
アナリストやメディアの意見がひとつの方向に傾くと、どうしてもその目線に引っ張られがちです。そんなときは、日本国内だけでなく、海外ではどういう論調になっているのか、英語のウェブサイトをチェックしてみるといいかもしれません。
いずれにせよ、コンセンサスは絶対ではありません。「みんながそう言っているけど、本当だろうか?」と疑うことは大切です。それが、大きなチャンスに結びつくこともあるのです。
(ザイ投資戦略メルマガ事業部)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
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また、事前に質問も受け付けていますので、宛先メールアドレスを「info-fxmail@diamond.co.jp」とし、タイトルに「座談会の質問」と付けて、3人への質問をお寄せください(※)。質問の締め切りは、2020年10月22日(木)までになります。
(※すべての質問に回答できないことをご了承ください)
収録ホヤホヤの動画をたっぷりお届けしますので、西原宏一さん、志摩力男さん、バカラ村さんによる熱気あふれる座談会を視聴しながら、米大統領選挙後のトレード戦略を立ててみるのはどうでしょう。
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