先週の金曜日は出てくる経済指標がおしなべて市場予想を下回るものばかりだった。それが幸いしてか、先週に高まりつつあったインフレ懸念の払拭に役立ち、ドルの長期金利は低下傾向を鮮明にさせた。値幅こそ大きくはなかったものの、為替相場ではドル円やユーロドルなど、主要通貨はドル安の地合いを着実にした。
しかし先週はインフレ懸念で振り回された。もっとも高い位置で始まった株価だったが、世界的なインフレ懸念の影響で急落に転じ、週末には米国株はほとんど元のレベルにまで完全復帰している。なんのこっちゃという感じである。
それもFRBの示す態度に不信感が増してきたからだろう。雇用環境がタイトであるのが示されたのに、依然として回復までほど遠いとしている。また食品、工業原材料の急騰にもかかわらず、物価高は一時的なものだとしている。マーケットはFRBのガイドラインを実情に合わせて変更するべき材料を求めているのかもしれない。
日本のゴールデンウイーク明けまでの5月第2週までは、米国株も連日の続伸で史上最高値を記録していた。そのためか言い古されてきた「セル・イン・メイ」の格言は誰も口の端に乗せなくなっていた。これが大幅調整を強いられた今週の一連の動きの中では、再び「セル・イン・メイ」が取り沙汰されるのだろう。
そもそも論として「セル・イン・メイ」というくらいだから、5月は株価が高いのである。株高な状態が続くのである。そこを逆張りにするのだから、目先で最高値を更新している株価を見せられては、「セル・イン・メイ」とは言い出せないだけなのだろう。
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