5500億ドルのインフラ投資法案が超党派で合意したということで、昨日はリスクテークが先行した。アジア時間、欧州時間を通じて株価は堅調。ドル円とユーロ円もすこぶる腰の強い動きとなった。しかし相変わらず値幅は小さい。市場参加者を刺激するほどの魅力的な値動きを呈していないのである。
アメリカのGDPは予想のプラス8%台を大きく下回って、プラス6.5%となった。しかし中身を見ると個人消費の伸びは大きかったので、市場にパニックを起こさせるほどのこともなかった。また雇用保険のデータも悪かったので、FOMCで強調された「ほど遠い」といった表現に市場はうなづかざるをえない。ニューヨーク時間では総じてドル安。
FOMCが終わって、ちょっと脱力感がマーケットに出てきている。これで当分は大きなイベントがないというのが最大の理由だろう。そして夏休みを取りたい人はお休みモードに入るということか。来週の雇用統計にしたところで失業保険の上積みによる潜在就業者が見えにくいだけに、あまり当てにはされないだろう。となると8月下旬のジャクソンホールが相対的にクローズアップされてくる。
しかしジャクソンホールで何を期待するのか。大事なことを公的に議論すべき場所はFOMCである。わざわざご丁寧にもパウエル議長はFOMC後の会見でジャクソンホールに向け講演原稿を執筆中などと発言していたが、FOMCで表明してもいない見解を、突発的に外部で表出すると期待するのは不自然である。10年近く前にバーナンキ議長がテイパリングについて語ったからと言って、過度に思い入れを強くするのはマーケットをゆがめていることにもつながる。
当面は大きな金融政策の変更はないと考えて臨んだほうが無難だろう。雇用の状態も見たいだろうし、そうなるとどうしても9月のFOMCですらジャッジを下すのを避けることになるだろう。
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