■ヘッドアンドショルダーを完成させた豪ドル/円は67円まで下がる!
ヘッドアンドショルダー(三尊天井)とは人の頭と左右の肩のように、チャート上に3つの山ができている形。天井を示すチャートパターンと言われている。
「豪ドル/円の週足チャートを見てください。3つの山がありますよね。高値はだいたい107円ぐらい。左の山と真ん中の山が107円です。そして、右の山が104円ですね。
一方、ネックライン(山と山の間の谷の部分)は88円という意見と86円という意見が出ると思います。どちらにしても今、82円で(取材を行った9月16日現在)、ネックラインを下に抜けていますから、ヘッドアンドショルダーは完成しています」

ヘッドアンドショルダーが完成した場合、相場はどこまで下がるのか? テクニカル分析の教科書的な計算方法はこうだ。まず、高値からネックラインまでの値幅を出す。その値幅をネックラインから引いたものが下値の目標値となる。
「豪ドル/円のネックラインは88円と86円の中間をとって87円としておきましょう。高値107円と87円の差は約20円になります。ネックラインは87円ですから、そこから20円を引いた67円前後が下値のターゲットです。
僕はそこまで下がると思っていますが、テクニカル分析をわかっている人ならば、誰でもそのような結論が出なければおかしいとも言えるでしょう」
■ユーロ/円の下値のターゲットは130円!
次にユーロ/円についても、松田さんにテクニカル的な解説をしてもらおう。
「ユーロ/円の週足チャートを見てください。3つの山が見えますね。真ん中の山はクチャクチャとしていますが…。これもヘッドアンドショルダーになっています」

このチャートでは、真ん中の山がやや低く、右側の山が一番高くなっている。ヘッドアンドショルダーは真ん中の山が一番高いものではないのか?
「教科書には典型的な図が示してあるだけです。真ん中の山が低い場合もあるんですよ。ユーロ/円はちゃんとヘッドアンドショルダーになっています。
それはともかく、ユーロ/円は高値が169円、ネックラインは149円です。アバウトに言えば、170円と150円と見ればいい。となると、その値幅はやはり約20円。ユーロ/円は150円から20円を引いた130円前後が下値のターゲットになります。そこまで落ちる可能性があるということです」
ここで、一応、つけ加えておくと、ユーロ/円は本日、9月17日はやや戻して150円台に乗せたりしている……つまり、ネックライン上をウロウロしているような状況ではある。
■松田さん、一番のオススメは「豪ドル/円の売り」だ!
さて、豪ドル/円もユーロ/円も高値とネックラインの値幅は同じ20円となるのだが…。
「同じ20円の値幅といっても、ユーロ/円のレートは150円ぐらい、豪ドル/円のレートは80円ぐらいですから、豪ドル/円の方が変化率では大きくなるわけです。
ですから、豪ドル/円の方がすでにネックラインをかなり割り込んで下がってしまっているということはあるものの、トレード戦略としては『豪ドル/円の売り』が一番効率的だと思います。
豪ドルは金利が高かったわけですから、それだけ円キャリートレードで注ぎ込まれた資金も大きかったはず。それが逆流して、下がっていくわけですからね」
松田さんのオススメはヘッドアンドショルダーを完成させ、下落率が高そうな「豪ドル/円の売り」ということだ。
※なお、松田さんの連載コラム「FX一刀両断」でも豪ドル/円(オージー/円)に関する解説があるので、こちらもご覧あれ。
→「オージー/円(豪ドル/円、AUD/JPY)は下落トレンドに転換した!」
(ザイFX!編集部・井口稔)
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