リーマン・ブラザーズが破綻!
今週、世界の金融市場は米大手証券破綻の激震に大揺れで始まった。9月15日のニューヨークダウは504ドルも下がり(−4.42%)、それを受けた9月16日の日経平均は605円も下がっている(−4.95%)。
株の大きな動きと比べると、為替はそれほどでもないものの、それでもドル/円は103円台まで下がってきている(9月16日現在)。
リーマン破綻を受け、為替相場はこれからどう動くのか? 『ザイFX!』でもおなじみの松田哲さんに見通しを聞いたのだが…。「為替の動きについて話す前にまず、このことを言わせてください」と松田さんは話し始めた。
■リーマン・ブラザーズの破綻で連鎖倒産がこれから起こる
「僕はこの1年間ほど『米国の金融機関で破綻するところが出るだろうし、米国経済は悪くなっていく』とずっと言い続けてきました。
でも、『サブプライムローン問題は収束に向かう』という意見を専門家と呼ばれる人がたくさん言ってましたよね。そういう人たちに一般の個人投資家は騙されてきたんです。そこに僕は理不尽なものを感じます。正直、今は『ほれみろ』という気持ちなんです。
仮にリーマン・ブラザーズが破綻しなくても、米国経済が悪くなることは同じだったでしょう。ただ、リーマンが破綻したことで、一層ひどいことになる。連鎖倒産がこれから起きてくると思います」
では、そうした状況下で、ドル/円はこれからどう動いていくと松田さんは考えているのか?
「ドル/円の戻り高値は8月中旬につけた110円台。今後当面、111円台に乗ることは考えられません。
下値はどこまで行くかメドがつかないですね」
「ドル/円の心理的抵抗線はまず100円。そして、今年3月につけた95円があります。二段構えで一応ここにサポートがある。しかし、いずれは100円を割り、さらに95円も割って、下がっていくでしょう。
その際、ストーンと急落しておかしくないと思っていますが、タラタラタラタラ下がっていく可能性もある。それが明日にも来るのか、1ヵ月後なのか、3ヵ月かかるのか6ヵ月かかるのか、そこはわかりませんが…」
その際、ストーンと急落しておかしくないと思っていますが、タラタラタラタラ下がっていく可能性もある。それが明日にも来るのか、1ヵ月後なのか、3ヵ月かかるのか6ヵ月かかるのか、そこはわかりませんが…」
米ドル/円 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
松田さんがずっと円高ドル安論を唱えてきたことは『ザイFX!』の読者ならおなじみのことだろう(「ドルはどこまで下がるのか? (5)」などを参照)。その松田さん、最近のドル上昇に一部違和感を感じるところがあったようだ。
■ドルが”リバウンドしすぎ”だったのは口先介入があったから
「急落すればリバウンドが起こって不思議ありません。95円まで下がって、そこから105円ぐらいまでのリバウンドは普通だろうと思っていました。ただ、どうも妙な動きがあって、結局、110円まで上がってしまいました。105円より上の動きは納得のいかないところです。これはポールソン財務長官などが口先介入したからですが…」
確かに6月以降、米国の要人から次々と「ドル安は困る」といった感じの発言が出て、ドルはジリジリと上がっていった。
「ポールソン(財務長官)もバーナンキ(FRB議長)も発射台を高くしたかったんでしょう。
たとえば、今回のような大型金融危機がドル/円が100円の時に始まったとしたら、そこから20円下がれば80円ですよね。でも、今回110円から下がったとすれば、20円下がったとしても90円ですむことになる。これが『発射台を高く』の意味です」
「米国要人の”口先介入”の可能性は今後もあると松田さん」は話す。ならば、下がるとしても、ジリジリとしか下がらない可能性が出てくるわけだ。
その一方、ドル/円より、もっと下がりやすい通貨ペアがあるというのである。
(「リーマン・ブラザーズ破綻で為替はこれからどう動く?(2) ~クロス円の下落で大騒ぎになる!~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
松田さんがずっと円高ドル安論を唱えてきたことは『ザイFX!』の読者ならおなじみのことだろう(「ドルはどこまで下がるのか? (5)」などを参照)。その松田さん、最近のドル上昇に一部違和感を感じるところがあったようだ。
■ドルが”リバウンドしすぎ”だったのは口先介入があったから
「急落すればリバウンドが起こって不思議ありません。95円まで下がって、そこから105円ぐらいまでのリバウンドは普通だろうと思っていました。ただ、どうも妙な動きがあって、結局、110円まで上がってしまいました。105円より上の動きは納得のいかないところです。これはポールソン財務長官などが口先介入したからですが…」
確かに6月以降、米国の要人から次々と「ドル安は困る」といった感じの発言が出て、ドルはジリジリと上がっていった。
「ポールソン(財務長官)もバーナンキ(FRB議長)も発射台を高くしたかったんでしょう。
たとえば、今回のような大型金融危機がドル/円が100円の時に始まったとしたら、そこから20円下がれば80円ですよね。でも、今回110円から下がったとすれば、20円下がったとしても90円ですむことになる。これが『発射台を高く』の意味です」
「米国要人の”口先介入”の可能性は今後もあると松田さん」は話す。ならば、下がるとしても、ジリジリとしか下がらない可能性が出てくるわけだ。
その一方、ドル/円より、もっと下がりやすい通貨ペアがあるというのである。
(「リーマン・ブラザーズ破綻で為替はこれからどう動く?(2) ~クロス円の下落で大騒ぎになる!~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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