ツール・ド・フランス——世界最大の自転車ロードレースが7月4日から始まった。ピレネー、アルプスの山々を越え、フランス一周(※)、約3400キロメートルを21日間で走破する壮大なレースには、のべ1500万人あまりものファンが沿道につめかけるという。
今年のツール・ド・フランスは新城幸也、別府史之という2人の日本人選手が出場し、上位入着を果たしていることでも注目を集めている。
100年以上の歴史を誇るツール・ド・フランスだが、そのスタートラインに立った日本人選手は過去たった2人しかいなかった。今年は3人目と4人目が同時に出場して、しかも見せ場を作っているのだから、これは大変なことなのだ。
(※一部、周辺国にも立ち寄る)
■ツール・ド・フランスの有力チーム「サクソバンク」
さて、そんなツール・ド・フランスで昨年、個人総合優勝、チーム総合優勝を飾っており、今年、2009年も有力視されているチームがサクソバンク(SAXO BANK)だ(※)。
(※正確には昨年はCSCとサクソバンクの共同スポンサーによる「チームCSC−サクソバンク」だった。今年はサクソバンクの単独スポンサーで「チーム・サクソバンク」となっている)
……と、ここまで自転車ロードレースの話ばかりで、何だこれは? いったいここは何のサイトだったっけ? と不審に思った人もいるかもしれない。
けれど、また、サクソバンクという名前にピンと来たFXファンも少なくないのではないだろうか。
そう、このツール・ド・フランスの有力チームである「サクソバンク」とは、サクソ系(SAXO系)という呼び方で日本のFXファンに知られているあの「サクソバンク」に他ならないのだ。
サクソバンクはデンマークに本拠を置く金融機関。正式な社名はSAXO BANK A/Sという。この7月からは日本でも、サクソバンクFXという日本法人がサービスを開始した(サクソバンクFXについて詳細は次回)。
今回はサクソ系とかサクソバンクという言葉は聞いたことがあるけれど、詳しくは知らないという読者のために、SAXO BANK A/Sの創業者であり、共同CEOであるキム・フォーネイ氏へのインタビューを交えながら、このサクソバンクについて紹介してみたい。
まず、サクソバンクとはどんなことをしている会社なのだろうか?
■サクソバンクって、どんな会社?
まず、サクソバンクとはどんなことをしている会社なのだろうか? 共同CEOのキム・フォーネイ氏はこう語る。
「サクソバンクは専門分野に特化した銀行です。企業への融資を行うような伝統的な銀行ではありません。世界の投資家にさまざまな金融商品をオンラインで取引できる環境を提供しているのです」
サクソバンクは「Online Investment Bank」を標榜している。「Online Investment Bank」をそのまま訳せば「オンライン投資銀行」。そんなわけで、サクソバンクは「投資銀行」と表現されることがある。
まず、サクソバンクとはどんなことをしている会社なのだろうか? 共同CEOのキム・フォーネイ氏はこう語る。
「サクソバンクは専門分野に特化した銀行です。企業への融資を行うような伝統的な銀行ではありません。世界の投資家にさまざまな金融商品をオンラインで取引できる環境を提供しているのです」
サクソバンクは「Online Investment Bank」を標榜している。「Online Investment Bank」をそのまま訳せば「オンライン投資銀行」。そんなわけで、サクソバンクは「投資銀行」と表現されることがある。
ただ、日本語で「投資銀行」といった場合、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、はたまた破綻したリーマン・ブラザーズのような金融機関をどうしても思い浮かべてしまうのではないだろうか。法人相手にM&Aを仲介したり、証券化商品を組成して売りさばいたりしているような「投資銀行」だ。
しかし、サクソバンクはそういった、いわゆる「投資銀行」ではない。
そして、企業への融資も行っていないのだから、シティバンクとか、三菱東京UFJ銀行のような「商業銀行」でもない。
では、サクソバンクは、日本で言えばどんな金融機関に相当するのかとキム・フォーネイ氏に聞いたところ、「そういうものはありません」という答が返ってきた。
「我々が今やろうとしていることは過去に誰もやったことがないことだと思っています。サクソバンクは既存のどんな種類の企業とも似ていないですね。我々は、グローバルな金融商品を一つのツールでオンライン取引できるようなサービスを提供しているのです」
■FXもCFDも先物も一つのツールで取引
デンマークのSAXO BANK A/Sでは、FXはもちろん、通貨オプション、CFD、現物株、通貨先物、商品先物、債券などといった金融商品が一つのツールでオンライン取引できるという(CFDについては「広瀬隆雄の『ウワサのCFD徹底講座』」を参照)。
これはあくまで記者の印象だが、さまざまな金融商品(たとえば、FXや現物株やCFDや商品先物や株価指数先物や債券など)を幅広くオンライン取引できる金融機関を日本で挙げるとすると、SBI証券やオリックス証券、ひまわり証券、インヴァスト証券といった名前が思い浮かぶ。
サクソバンクは確かにEUの監督下で認可を受けた「銀行」なのだが、実際に取引する個人投資家目線で言えば、日本のネット証券やFX会社に近い存在と言えるのではないだろうか。
もっとも、完全に同一のツールでさまざまな金融商品が取引できる点や、そのようなシステムをすべて自社が提供している点で、上記の会社とは異なっている。実際、上に挙げた中でひまわり証券は、CFDについてはサクソバンクのシステムを導入しているのだ。
ここでサクソバンクの歴史をちょっとたどってみよう。
(「ツール・ド・フランスで有力視されるサクソバンク(SAXO BANK)とは?(2)」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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