下のチャート(再掲)を見てほしい。まず、1波は1971年の360円のところから、1973年の変動相場制移行を経て、1978年10月に175円の円高値をつけるところまでだ【(I)と表記】。
次に2波はその修正で、円安が進んだ時期。1978年10月の175円から1982年10月の278円までとなる【(II)と表記】。
3波はエリオット波動ではもっとも力強く、長いものになるとされている部分。実際、ドル/円長期チャートでも、1982年10月の278円から1995年4月の79円まで非常に大きな波となっている【(III)と表記】。
そして、4波は円高に対する修正が入った円安の時期になるが、これは1995年4月の79円から2007年年末~2008年はじめ付近までとなる【(IV)と表記】。
4波の時期には2007年よりも前に1998年8月の147円など、さらに高値をとっているところもあるのだが、4波の終了はこの1998年8月ということはないのだろうか?
■エリオット波動の4波では三角保ち合いを形成しやすい
「4波では三角保ち合いが形成されていると考えています。三角保ち合いは1~5波の中では4波に出る頻度が高いとされています。そして、エリオット波動での三角保ち合いは上げ下げ5本の波が必要になります。それも安値は確実に切り上がり、高値は確実に切り下がっていることが条件になります」
相場が行ったり来たりしながら、その行ったり来たりする範囲を狭めて、チャートがちょうど三角形に見えるものを三角保ち合いというが、なんとなく三角形に見えていればいいやというのではなく、エリオット波動では三角保ち合いの定義もシッカリ決まっているということなのだ。
そう考えると、確かに4波のところは1998年、2002年、2007年と高値をつける一方で、1999年、2005年と安値をつけ、5本の波がきれいにできている。
結局、4波は単純に高値をとったところでお終いというわけではなく、三角保ち合いが終了したところまで続いていたと考えるわけである。
■ドル/円はエリオット波動の5波に入っている
「2007年年末~2008年はじめあたりで、この三角保ち合いのサポートライン(上図の下の方の破線)を下に抜けました。ここでドル/円は5波に入ったと考えています」
三角保ち合いは一般に抜けた方向へ大きく動くと言われている。上に抜ければ上に大きく動くし、下に抜ければ下に大きく動く。ドル/円の場合は三角保ち合いを下に抜けたのだから、下に大きく動くことが考えられるわけだ。
「サポートラインを割れたあと、いったんはサポートラインに戻るような動きを見せつつも、今度はそのサポートラインが上値の重石となって、結局下がっていくというようなことはよくある動きなのですが、実際、ドル/円もそのように動いています」
(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(3) ~70円台への突入はチャート的に当然~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
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