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田向宏行
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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

【09年予想】宮田直彦さんに聞く(2)
~エリオット波動の5波にあるドル/円~

2009年02月09日(月)16:50公開 (2009年02月09日(月)16:50更新)
ザイFX!編集部

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「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(1) ~実質実効レートで円高トレンド発生~」からつづく)

前回は円の実質実効レートに関する宮田さんの見解を紹介した。繰り返しになるが、円の実質実効レートとは円の総合的な強さを示すもの。ドル/円、ユーロ/円などの個々の通貨ペアについては、この総合的な見通しを前提とした上で、また、それぞれ考えなくてはならない。

 そこで、次はドル/円のテクニカル分析に話を移したいのだが、そこで出てくるエリオット波動について、まず説明したい。といっても、エリオット波動を本格的に説明しだすと大変なので、ごく基本的なところを簡単に紹介する。

■エリオット波動の基本とは?

 エリオット波動では、相場の波には一定のリズムがあり、基本は5つの上昇波動と3つの下降波動で形成され、これが繰り返されると考える。

 下図の前半のとおり、上昇波動は1波、2波、3波、4波、5波で形成されている。この場合、メイントレンドは「上昇」となるわけだが、1波、3波、5波は上昇しており、メイントレンドと同方向だ。これに対し、2波と4波は下降しているので、メイントレンドとは逆方向に「修正」が入った形となる。
エリオット波動の基本型
 一方、上図後半は下降波動で、こちらはA波、B波、C波という3つの波で形成されている。この場合、メイントレンドは「下降」となるわけだが、A波、C波は下降しており、メイントレンドと同方向だ。これに対し、B波は上昇しているので、メイントレンドとは逆方向に「修正」が入った形となる。

 そして、エリオット波動では、これらの波の一つひとつの中にも、さらに小さな上昇波動、下降波動が見られると考えるのである。

 実際、相場は同じ上がるにしても一気に上がることは通常なく、小さな下げを挟みながら結局は上がっていく形になることが多い。エリオット波動はそうした動きは模式化したものなのだ。

■エリオット波動で読むドル/円長期チャート

 以下は宮田さんが示してくれた1971年以降のドル/円長期チャートだが、これには先に述べたエリオット波動の1波~5波が現れているという。
ドル/円 月足(クリックで拡大)

 このチャートは1ドル=360円の昔から、かなり長期に渡る大きな下降トレンドを示しているように見える。しかし、エリオット波動というのは先に述べたように上昇5波、下降3波が基本であり、1波~5波というのは上昇波動で現れるものではないのだろうか?

 「為替の場合、ドル/円で見るか、円/ドルで見るかというのは市場の約束事にすぎないので…。もしも、円/ドルだったら、このチャートは一貫した上昇波動になりますよね。ただ、元々株の分析に使われていたエリオット波動がどこまで為替に当てはまるのか、まだよくわからないところがあるのも事実です。

 ですが、私はドル/円についてはこれを下降5波動……というよりは円高5波動というふうにとらえています」

 では、円高5波動の1波~5波が具体的にどう現れているのか、見ていこう。
 下のチャート(再掲)を見てほしい。まず、1波は1971年の360円のところから、1973年の変動相場制移行を経て、1978年10月に175円の円高値をつけるところまでだ【(I)と表記】。

 次に2波はその修正で、円安が進んだ時期。1978年10月の175円から1982年10月の278円までとなる【(II)と表記】。

3波はエリオット波動ではもっとも力強く、長いものになるとされている部分。実際、ドル/円長期チャートでも、1982年10月の278円から1995年4月の79円まで非常に大きな波となっている【(III)と表記】。
ドル/円 月足(再掲、クリックで拡大)

 そして、4波は円高に対する修正が入った円安の時期になるが、これは1995年4月の79円から2007年年末~2008年はじめ付近までとなる【(IV)と表記】。

 4波の時期には2007年よりも前に1998年8月の147円など、さらに高値をとっているところもあるのだが、4波の終了はこの1998年8月ということはないのだろうか?

■エリオット波動の4波では三角保ち合いを形成しやすい

 「4波では三角保ち合いが形成されていると考えています。三角保ち合いは1~5波の中では4波に出る頻度が高いとされています。そして、エリオット波動での三角保ち合いは上げ下げ5本の波が必要になります。それも安値は確実に切り上がり、高値は確実に切り下がっていることが条件になります」

 相場が行ったり来たりしながら、その行ったり来たりする範囲を狭めて、チャートがちょうど三角形に見えるものを三角保ち合いというが、なんとなく三角形に見えていればいいやというのではなく、エリオット波動では三角保ち合いの定義もシッカリ決まっているということなのだ。

 そう考えると、確かに4波のところは1998年、2002年、2007年と高値をつける一方で、1999年、2005年と安値をつけ、5本の波がきれいにできている。

 結局、4波は単純に高値をとったところでお終いというわけではなく、三角保ち合いが終了したところまで続いていたと考えるわけである。

■ドル/円はエリオット波動の5波に入っている

 「2007年年末~2008年はじめあたりで、この三角保ち合いのサポートライン(上図の下の方の破線)を下に抜けました。ここでドル/円は5波に入ったと考えています」

 三角保ち合いは一般に抜けた方向へ大きく動くと言われている。上に抜ければ上に大きく動くし、下に抜ければ下に大きく動く。ドル/円の場合は三角保ち合いを下に抜けたのだから、下に大きく動くことが考えられるわけだ。

 「サポートラインを割れたあと、いったんはサポートラインに戻るような動きを見せつつも、今度はそのサポートラインが上値の重石となって、結局下がっていくというようなことはよくある動きなのですが、実際、ドル/円もそのように動いています」

「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(3) ~70円台への突入はチャート的に当然~」へつづく)

(ザイFX!編集部・井口稔)
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