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ドル・円・ユーロの明日はどっちだ!?

【09年予想】宮田直彦さんに聞く(1)
~実質実効レートで円高トレンド発生~

2009年02月07日(土)20:24公開 (2009年02月07日(土)20:24更新)
ザイFX!編集部

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 2009年の為替はどう動くのか? このコーナーでは岡崎良介さん、山中康司さんと見解を聞いてきたが、今回は三菱UFJ証券でエクイティリサーチ部のチーフ・テクニカルアナリストを務める宮田直彦さんの見解をお届けしよう。

 宮田さんは国際証券(現三菱UFJ証券)入社後、先物オプション部(トレーダー)、投資情報室(リテール向け情報提供)、エクイティ営業部(機関投資家セールス)を経て、1999年からチーフ・テクニカルアナリストとして活躍している。

 三菱UFJ証券のサイトで見ることができる“宮田レポート”。このレポートには為替だけでなく、株価指数・商品・債券など、さまざまな相場のチャート分析が掲載されているが、今回は為替に焦点を当てて、話を聞いた。

■ファンダメンタルズよりもチャートの方が先に動く

 まず、宮田さんはどのように為替相場の予想を行っているのか。その立ち位置をお伝えしよう。宮田さんの専門はその肩書きのとおり、テクニカル分析。となると、ファンダメンタルズは考慮しないのだろうか?

 「基本はチャート分析です。ファンダメンタルズは無視はしていませんが、それによって見方がぶれることはあまりないです。

 為替相場でスポットが当たる要因は金利差だったり、貿易収支だったり、財政収支だったり、その時々で変化しますからね。自分の経験上、ファンダメンタルズ的な要因というのは、チャートが動いてある程度経ったあとに現れることもよくあるんですよ。つまり、チャートの方が早いんです」

■エリオット波動とマーケットが持つサイクルを見る

 宮田さんはテクニカル分析の中でもエリオット波動の専門家。あとでもう少し詳しく説明するが、エリオット波動とはR・N・エリオット(1871~1948)が考案したテクニカル分析の理論だ。

“宮田レポート”のページでは、宮田さんがエリオット波動についてこんなふうに熱く語っている。
 
「エリオット波動」と出会ってから10数年が経ちますが、かつて受けた興奮と感動は今でも忘れられません。複雑に見えるマーケットが一定の法則の下で動いているという概念は、私のそれまでのマーケットに対する考え方を一変させるものでした。

 ただ、宮田さんが為替相場の分析をする際はエリオット波動だけを使うわけでもないようだ。

 「エリオット波動は本来、株価の値動きをとらえる時に使うのが王道です。為替や債券など、相場に循環的な要素が入ってくる場合はエリオット波動だけというわけにはいきません。それ以外に時間要因も重視します。そのマーケットが持っているサイクルを取り出して、何年周期で動いているマーケットかということを見ていくんです」

 為替相場では、エリオット波動マーケットが持つサイクルを見ていくという宮田さんだが、では、2009年の為替相場をどう見ているのか? まずは円の実質実効レートについて解説してもらおう。
■円の実質実効レートを読む

実効レートとはその通貨の総合的な強さを示すもの。

 たとえば円であれば、対ドル、対ユーロ、対ポンドといったようなさまざまな通貨に対する円の強さを合成して総合的に示したものが実効レートだ。いわば、日本株におけるTOPIXのような存在と言っていいだろう。

 なお、実効レートには各国のインフレ率を調整した実質実効レートと、その調整を行っていない名目実効レートがある。

 以下は宮田さんが提供してくれた円の実質実効レートのチャートだ。ちなみに、ドル/円のチャートはチャートが下がるほど円高になるが、この実質実効レートのチャートはチャートが上がるほど円高になる。
円の実質実効レート(クリックで拡大)

■12年半円高が続き、12年半円安が続いた

 このチャートで最安値は1982年10月に記録している。最高値は1995年4月だ。1995年4月というのはドル/円が79.75円という円の史上最高値を記録した月である。

(※なお、このチャート自体は実質実効レートを表しており、縦軸の目盛りもそうなっているが、ところどころに入っている注釈には参考のため、ドル/円レートが記してある。1995年4月のところには「1ドル=84.25円」と記してあるが、これはその月のドル/円の終値であり、その月のドル/円の安値は79.75円だった)

 チャートに記されているとおり、1982年10月から1995年4月までは約150ヵ月。年に直すと約12年半。この間、途中円安にふれる場面もあったが、基本的には円高トレンドが続いていた。

 そして、実質実効レートが最高値をつけた1995年4月から今度は円安トレンドが始まる。これが1995年4月から147ヵ月、つまり、約12年半たった2007年7月まで続くのだ。

■2007年7月は円の相当な安値だった

 「私たちはよく“対等数値”という言い方をするんですが、上昇期間1に対して、下落期間が同じ1になるようなことが相場ではよく現れます。円の実質実効レートのチャートではこの1対1のバランスがきれいに現れていますから、2007年7月は円の相当な安値だったんだろうと判断しているんです。

 それは2007年7月の時点では仮説にすぎませんでしたが、時間の経過とともにチャートはみるみる上昇して、1995年4月高値から斜めに引いた抵抗線をはっきりと上回ってきました。上のチャートでマルをつけたところです。

 ここで抵抗線を上にブレイクしていますので、より円高方向へのバイアスが強まりつつある状況とみることができます。実質実効レートが指し示す方向は長期的にはまだまだ円高ということが言えるのです」

■円高トレンドがこれから長く続きそう

 上のチャートを見ると、2007年7月を底にして、すでにかなり円高方向に進んでいる。けれど、1995年4月の水準はまだかなり上だ。この後、チャートがもしも1995年4月の水準まで達するのだとすれば、これから強烈な円高がまだまだ進むことになるが…?

 「このチャートは1995年4月のレベルまで必ず到達するということまでは示していません。期間についても12年半円高、12年半円安と来たのだから、また今度は12年半円高かといえば、それはあまりにもシンプルすぎるのでそこまでのものとは思っていません。

 ただ、現状では円高トレンドが発生しつつあるし、それは今後もかなり長く続きそうだという感触を持っているのです」

「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(2) ~エリオット波動の5波にあるドル/円~」へつづく)

(ザイFX!編集部・井口稔)
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