読者のみなさま、あけましておめでとうございます。
本年も「ザイFX!」をよろしくお願いいたします。
————————————————————————
■激動の2008年を受け、2009年の為替はどう動く!?
昨年、2008年は金融危機が世界を揺るがせ、為替相場も歴史的な激動に見舞われた1年だった。
ドル/円は大きく下がり、昨年12月にはついに90円を割れ、80円台の大台に到達した。
ドル/円が変動相場制になったのは1973年のこと。それ以降の36年間で、ドル/円が80円台の大台で推移したのは昨年を除くと、1995年3~8月のたった6ヵ月間しかない。
今は80円の大台から少し戻して90円の大台となってはいるものの、依然として今のドル/円レートは“歴史的”と言える水準にあることは間違いない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
昨年夏以降、ユーロ/円、豪ドル/円などクロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落も凄まじかった。たとえば、豪ドル/円は104円から55円まで急落。わずか3ヵ月で約47%も下がったのである。“垂直崩落”と言っていいような下がり方だった。
昨年夏以降、ユーロ/円、豪ドル/円などクロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落も凄まじかった。たとえば、豪ドル/円は104円から55円まで急落。わずか3ヵ月で約47%も下がったのである。“垂直崩落”と言っていいような下がり方だった。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足)
このような激動の2008年の流れを受け、2009年の為替相場はどう動くのか? 今回からさまざまな専門家の見解をお届けしていきたい。
■相場ローテーションを解き明かした岡崎良介さん
まずその第1弾は岡崎良介さん。岡崎さんは野村證券投資信託委託(現・野村アセットマネジメント)、ドイチェ信託銀行などで資産運用業務に従事され、現在はTAKMAキャピタルの取締役を務めている。
岡崎さんは昨年、2008年に出版された著書『相場ローテーションを読んでお金を増やそう』(日本経済新聞出版社)で、過去の膨大なデータを緻密に分析し、不動産、株、商品、為替など、さまざまな相場が循環する“法則”を解き明かしている。
たとえば、「株価の動きは景気に先行する」といったことが教科書的にはよく言われる。理論的にはそうなのだとしても、実際のところ、現実の相場はいつも本当にそう動いているのだろうか? 岡崎さんは実際のデータに基づいた分析から、そうした疑問に応えているのだ。
さて、そんな岡崎さんの“法則”による2009年のドル/円相場の見通しはどうなのだろうか?
このような激動の2008年の流れを受け、2009年の為替相場はどう動くのか? 今回からさまざまな専門家の見解をお届けしていきたい。
■相場ローテーションを解き明かした岡崎良介さん
まずその第1弾は岡崎良介さん。岡崎さんは野村證券投資信託委託(現・野村アセットマネジメント)、ドイチェ信託銀行などで資産運用業務に従事され、現在はTAKMAキャピタルの取締役を務めている。
岡崎さんは昨年、2008年に出版された著書『相場ローテーションを読んでお金を増やそう』(日本経済新聞出版社)で、過去の膨大なデータを緻密に分析し、不動産、株、商品、為替など、さまざまな相場が循環する“法則”を解き明かしている。
たとえば、「株価の動きは景気に先行する」といったことが教科書的にはよく言われる。理論的にはそうなのだとしても、実際のところ、現実の相場はいつも本当にそう動いているのだろうか? 岡崎さんは実際のデータに基づいた分析から、そうした疑問に応えているのだ。
さて、そんな岡崎さんの“法則”による2009年のドル/円相場の見通しはどうなのだろうか?
■まだまだ円高が継続する2009年
「2009年はまだ円高が続くでしょう。相当長期的な円高が継続するという大きな流れの中で、小反発を繰り返すというのが2009年のドル/円相場の展望になると思います」
岡崎さんはドル/円相場を一番大きく左右するのはアメリカの金融政策だという。
「アメリカは先日、0%~0.25%まで利下げして、もうこれ以上、利下げできないというところまで来ました。次のポイントはアメリカがいつ利上げするかということです。
過去のデータを見ると、ドル/円が底打ちする(円高ドル安が円安ドル高に転換する)のはアメリカが利上げを開始してから平均7ヵ月後になっています。利上げが始まっても、“慣性の法則”みたいなものが働いて、しばらくは円高が続いてしまうんですね」
下表はアメリカの利上げ開始日とドル/円の谷を比べたもの。1997年3月の利上げ開始を除けば、利上げ開始と同時か、少し遅れてドル/円は底打ちしていることがわかる。
「2009年はまだ円高が続くでしょう。相当長期的な円高が継続するという大きな流れの中で、小反発を繰り返すというのが2009年のドル/円相場の展望になると思います」
岡崎さんはドル/円相場を一番大きく左右するのはアメリカの金融政策だという。
「アメリカは先日、0%~0.25%まで利下げして、もうこれ以上、利下げできないというところまで来ました。次のポイントはアメリカがいつ利上げするかということです。
過去のデータを見ると、ドル/円が底打ちする(円高ドル安が円安ドル高に転換する)のはアメリカが利上げを開始してから平均7ヵ月後になっています。利上げが始まっても、“慣性の法則”みたいなものが働いて、しばらくは円高が続いてしまうんですね」
下表はアメリカの利上げ開始日とドル/円の谷を比べたもの。1997年3月の利上げ開始を除けば、利上げ開始と同時か、少し遅れてドル/円は底打ちしていることがわかる。
以下のチャートで見ても、米国政策金利の底打ちから少し遅れて、ドル/円が底を打つパターンが多いことがわかる。
ちなみに上表の1997年3月については、その前後の利下げ幅(0.75%)も利上げ幅(0.25%)も小さかったこと、3年に渡る空前のドル買い介入によって相場が歪められてしまったことから例外的なものと考えられると岡崎さんはいう(ちなみに1997年3月というのは、1995年4月から1998年8月まで続くドル/円上昇相場の真ん中付近に当たっている)。
上の表やチャートからわかるとおり、アメリカの利上げに先行して、ドル/円が底を打ったことはない。「ドル/円の買い転換」はまずアメリカが利上げしないことには始まらないのだ。
■日本の金利はドル/円の大きなトレンドには影響せず
為替は2国間の通貨の綱引き。ドル/円には、アメリカの金利だけでなく、日本の金利も影響を与えることはないのだろうか?
「日本の金利は為替の小さな動きには影響がありますが、大きなトレンドの決定要因にはなりません。
そもそも日本の金利はアメリカの金利とほぼ連動して動きますからね。日本の金利は日本のGDPとか、日本の景気を見ながら予測する必要がないぐらいなんですよ」
確かに先月、12月16日にアメリカが1.0%から0%~0.25%に利下げすると、12月19日に日本は0.3%から0.1%へ利下げした。これなどは、まさしくアメリカ追従型金融政策の典型例だろう。
では、為替レートの「水準」に話を移そう。円高ドル安が続くとして、ドル/円はこれからいったいどこまで下がるのだろうか?
「実は為替の水準に関してはデータを調べても、法則性が見つからなかったんです。円高が続くということは予想できても、これが85円ぐらいまで行くのか、80円ぐらいまで行くのか、そこはわかりません」
(「【09年予想】岡崎良介さんに聞く(2)~景気、金利、為替が底を打つ順番~」へつづく)
(ザイFX!編集部・井口稔)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)