昨日の欧州市場ではHSBCなど金融機関の好決算にぶつかり、マーケット全体がリスクテークモード一色になった。私はずっとユーロドルを1.30台の中盤から後半で売ってみては、15ポイントほど抜いて遊んでいたのだが、さすがにあれだけの株高にともなうユーロの買い圧力を見せつけられては、ジョビングする元気も途中で消え失せてしまった。
いつものことだが、市場を混乱に陥れた張本人が、勢いよく戻るのである。9-11テロの後の米国株もそうだった。今回も欧州株の戻りだけがきつくて、日本やアメリカは置いてけぼりという感じになっている。それがユーロドルやユーロ円の買い戻しに拍車をかけているのだろう。ユーロドルは1.31台に乗せてきたが、あまり達成感はなかった。
そして2005年当時によく見られたように、原油の値上がりがドルの下落を誘い、それがユーロドルやポンドドルを押し上げるという図式になり始めた。市場のリスク許容度の増加で原油価格は80ドル台を復活し、それでもまだストップベースの買い戻しを呼んでいる。北海油田を抱えている英ポンドの上昇は激しくなった。原油相場が80ドル台というのも久しぶりだし、ポンドドルが1.59台というのも半年ぶりでもあるからだろう。欧州通貨の買いは止むことなくニューヨーク市場へと移っていった。
米国市場においては、バーナンキ議長が国内景気の回復はまだ本格的でないと警鐘を鳴らしつつも、労働賃金の上昇がみられ、それが消費拡大につながるだろうという前向きの材料を提供したのが大きかった。なにしろ最近のFRB(米連銀)関係者から漏れ伝わってくる見通しは、どれも暗いものばかりだった。加えて金融危機の際には利上げを急ぐべきではないとの見解が示され、ますますリスクを取ることに勇気を与える形となった。
リスクテークのときには買われやすいクロス円は全面高となって、114円台までいったが、それまでにすでに大きく買い進まれていたので、かえって米国時間のほうが値動き的には相場はおとなしかった。
ところがここで肝心なことは為替相場がリスク相場になっていないことである。クロス円主導の相場展開ではなくなっていて、ドル相場になってきている。ドル円は安いままだ。ついに本日の欧州市場に入ると、85円台に突入してきた。結局のところ、バーナンキの発言によって金利の先高観がまったく払拭されただけになってしまった格好だ。
ユーロドルをここから買っていくのもよいのかもしれないが、ドル円は先週の安値85.93も下回ってきた。私は敢えてドル円の突っ込み売りを考えていたので、85.90でドル円ショートができたところだ。ロスカットは30ポイント上に置いた。突っ込み売りなので戻ってきて損切りついたら、それでおしまいにするつもりだ。
こんなドル売り環境下で不必要なまでに上がってしまった米国株の行方が、今晩の最大の注目材料となる。株が利食い先行の形が出てきたら、ドル安はさらにクロス円主導で加速することになるだろう。
日本時間 19時00分
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