為替マーケットは重要な節目に差し掛かっている。今週の終値がどのレベルとなるかによって判断できるのだろうが、本格的なドル安トレンドとなるのか否か、多くのトレーダーは固唾をのんで見守っている。
■足元のドル安はまだ「本物」ではない
「本格的な」という修飾語を入れたのは、足元のドル安がまだ「本物」ではないと見ているからだ。対主要通貨で、豪ドルとカナダドル以外ではまだ年初来安値を更新しておらず、ドル安と言っても限定的なのである。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル VS 世界の通貨 週足)
今まではドル全体の強弱を論じる際に、円を例外的に扱っていた。
たびたび指摘しているように、円は主要通貨の中で、ドル全体の値動きともっともかけ離れたパフォーマンスを示していて、ドル安でも、ドル高でも、ドル全体の強弱とドル/円は別のロジックで推測しなければならなかった。実際に、相場もそのように動いてきた。
ドル全体が軟調であることがドル/円の堅調を支えてきたという相関関係を本コラムは繰り返し指摘してきたので、読者も心得ていることだろう(「ドル/円は上値追いの展開へ。ただし130円までの上昇は考えにくい!」などを参照)。
だが、相場には永劫不変の法則は存在しない。そろそろこのような相関関係が崩れそうだということも念頭に置いて、もう一度ロジックを整理しなければならない時期に差し掛かっているのかもしれない。
■ユーロ/米ドルが200日線を越えられるかがポイント!
結論から申し上げると、本格的なドル安とはドルの全面安であり、ドル/円も含めてドル安の圧力が掛かってくるようになると思う。
言い換えれば、ドル/円やクロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に関しては、たとえ円高にまでは転じなかったとしても、少なくとも円安にはなりにくくなる可能性が高い。
前記の「節目」の意味を含め、もっとも象徴的なチャートはユーロ/米ドルの日足であろう。
今まではドル全体の強弱を論じる際に、円を例外的に扱っていた。
たびたび指摘しているように、円は主要通貨の中で、ドル全体の値動きともっともかけ離れたパフォーマンスを示していて、ドル安でも、ドル高でも、ドル全体の強弱とドル/円は別のロジックで推測しなければならなかった。実際に、相場もそのように動いてきた。
ドル全体が軟調であることがドル/円の堅調を支えてきたという相関関係を本コラムは繰り返し指摘してきたので、読者も心得ていることだろう(「ドル/円は上値追いの展開へ。ただし130円までの上昇は考えにくい!」などを参照)。
だが、相場には永劫不変の法則は存在しない。そろそろこのような相関関係が崩れそうだということも念頭に置いて、もう一度ロジックを整理しなければならない時期に差し掛かっているのかもしれない。
■ユーロ/米ドルが200日線を越えられるかがポイント!
結論から申し上げると、本格的なドル安とはドルの全面安であり、ドル/円も含めてドル安の圧力が掛かってくるようになると思う。
言い換えれば、ドル/円やクロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に関しては、たとえ円高にまでは転じなかったとしても、少なくとも円安にはなりにくくなる可能性が高い。
前記の「節目」の意味を含め、もっとも象徴的なチャートはユーロ/米ドルの日足であろう。
(出所:米国FXCM)
上のチャートのように、ユーロ/米ドルは再び200日移動平均線をトライしようとしており、これを越えるられるかどうかが1つのパラメーターとなろう。すなわち、200日移動平均線を越えてくれば、ドル安が本格的なものになってきたと言えるだろう。特に、ドルの対極としてのユーロに関しては、このシンプルなアプローチが非常に有効な手段だと思う。
■重要なのは英ポンドの動向だ
では、ドル安が加速するといった見通しにはどのような根拠があるのか? これに関しては前回、ユーロ/米ドルのフォーメーションが上値を指示していることを指摘したほか、英ポンドの動向が重要だと強調した(「ドル/円は上値追いの展開へ。ただし130円までの上昇は考えにくい!」参照)。
実際に昨日、英国の量的緩和策拡大(ポンドをもっと大量に刷る)が発表されたにもかかわらず、英ポンドの下落は限定的だった。
上のチャートのように、ユーロ/米ドルは再び200日移動平均線をトライしようとしており、これを越えるられるかどうかが1つのパラメーターとなろう。すなわち、200日移動平均線を越えてくれば、ドル安が本格的なものになってきたと言えるだろう。特に、ドルの対極としてのユーロに関しては、このシンプルなアプローチが非常に有効な手段だと思う。
■重要なのは英ポンドの動向だ
では、ドル安が加速するといった見通しにはどのような根拠があるのか? これに関しては前回、ユーロ/米ドルのフォーメーションが上値を指示していることを指摘したほか、英ポンドの動向が重要だと強調した(「ドル/円は上値追いの展開へ。ただし130円までの上昇は考えにくい!」参照)。
実際に昨日、英国の量的緩和策拡大(ポンドをもっと大量に刷る)が発表されたにもかかわらず、英ポンドの下落は限定的だった。
もっとも、昨日の英ポンドの反落は、ユーロ/英ポンドの急伸につられた側面が強く、ドルの軟調が一層露呈したとさえ見て取れる。ユーロ/英ポンドの1時間足を見ると、一目瞭然だ。
(出所:米国FXCM)
したがって、基本的にはドル安トレンドがこれから加速する公算が高いと思われる。ユーロ/米ドルが200日移動平均線を上抜けたならば、豪ドル/米ドルのように、一気に上放れていく可能性が高いと見ている。
それでは、ドル/円はどうなるか?
したがって、基本的にはドル安トレンドがこれから加速する公算が高いと思われる。ユーロ/米ドルが200日移動平均線を上抜けたならば、豪ドル/米ドルのように、一気に上放れていく可能性が高いと見ている。
それでは、ドル/円はどうなるか?
(出所:米国FXCM)
■ドル/円は次第に頭が重くなる可能性
ドル/円の日足を見ると、昨日の急伸によって再び200日移動平均線のサポートを確認した。これは、強いシグナルであるはずだ。しかし、気になるのは昨日の「上ひげ」の出現によって、99.74円での頭打ちを示唆していることだ。
このレベルは今年3月の高値と同水準であるだけに、近々に上抜けできなければ、上のチャートに茶色の円で図示したように、「三尊型(※)」のフォーメーションを形成していくリスクさえある。となれば、ドルの全面安と相まって、ドル/円の頭も重くなっていくと推測できる。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるためで、人の頭と両肩に見立てて「ヘッドアンドショルダーズトップ」と呼ぶこともある)
■ドル/円は再び100円台に乗せられるのか?
もっとも、このような分析は現時点ではあくまでサブシナリオである。ドル/円が上値追いとなるためには、再び100円台に乗せてくることが前提条件であることを提示しておきたいのが本音だ。
筆者自身にとって、昨日のドル/円の値動きは非常に意外だった。せっかく98円台で拾ったドルの安値をいち早く手仕舞いした後の上昇に苦笑いしかできなかったが、悔いはない。
というのは、トレーディングには感情を入れてはいけないからだ。素早く判断する必要があるだけに、判断した結果が間違いだったというリスクは常にある。当然のように、相場における行動も間違える可能性は常にある。
だから、いちいち感情的に自らの行動を振り返ってはならない。感情が入ると次に素早く判断して行動できなくなる恐れがある。それが命取りとなり、相場から撤退を余儀なくされたトレーダーを私は多く見てきた。
■ドル/円は次第に頭が重くなる可能性
ドル/円の日足を見ると、昨日の急伸によって再び200日移動平均線のサポートを確認した。これは、強いシグナルであるはずだ。しかし、気になるのは昨日の「上ひげ」の出現によって、99.74円での頭打ちを示唆していることだ。
このレベルは今年3月の高値と同水準であるだけに、近々に上抜けできなければ、上のチャートに茶色の円で図示したように、「三尊型(※)」のフォーメーションを形成していくリスクさえある。となれば、ドルの全面安と相まって、ドル/円の頭も重くなっていくと推測できる。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるためで、人の頭と両肩に見立てて「ヘッドアンドショルダーズトップ」と呼ぶこともある)
■ドル/円は再び100円台に乗せられるのか?
もっとも、このような分析は現時点ではあくまでサブシナリオである。ドル/円が上値追いとなるためには、再び100円台に乗せてくることが前提条件であることを提示しておきたいのが本音だ。
筆者自身にとって、昨日のドル/円の値動きは非常に意外だった。せっかく98円台で拾ったドルの安値をいち早く手仕舞いした後の上昇に苦笑いしかできなかったが、悔いはない。
というのは、トレーディングには感情を入れてはいけないからだ。素早く判断する必要があるだけに、判断した結果が間違いだったというリスクは常にある。当然のように、相場における行動も間違える可能性は常にある。
だから、いちいち感情的に自らの行動を振り返ってはならない。感情が入ると次に素早く判断して行動できなくなる恐れがある。それが命取りとなり、相場から撤退を余儀なくされたトレーダーを私は多く見てきた。
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