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日本振興銀行の破たんで再確認。
外貨預金はペイオフの対象外ですよ!

2010年09月16日(木)21:39公開 (2010年09月16日(木)21:39更新)
ザイFX!編集部

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2010年9月10日、日本振興銀行がついに破たん。日本で初めてペイオフが発動された。

 日本でもペイオフをやる時はやる! 当局はその態度を明らかにした。制度としては存在しても、これまで発動されてこなかったペイオフ。今回のペイオフ初発動によって、それが発動される確率は以前より高まったと言えるのではないだろうか?

 我々、ごく普通の人が銀行の財務内容や事業の状況を細部まで把握することは難しい。けれど、ごく一般的なニュースを読むだけでも、ある程度の情報は把握できる。そして、ごく一般的なニュースで、経営状態の悪さを報じられている銀行があるのもまた事実なのだ。

 「まさかの事態」が起こってからでは遅い。

 どの銀行に預けるかということまでシッカリ考え抜く——そうしたことが普通の人にまで要求される時代が到来したと言えるのではないだろうか。

■預金1000万円まではペイオフで保護されている

 ペイオフは別に怖いものではない。逆にとても安心できるしくみと言える。

 その大枠をざっくり述べれば、「銀行が破たんしても、定期預金や利息のつく普通預金は預金者1人当たり、元本1000万円までとその利息が保護される」というものだ。

 そして、それを保証するのは、政府などが出資して設立された預金保険機構である。

 ただ、1000万円を超えた金額については、ペイオフで保護されず、銀行が破たんした場合、いくら戻ってくるかはわからない。

 1000万円もお金持ってないよ、という人は銀行にお金を全部預けておいても「もしかしたらある日、それが全額なくなってしまうかも…」などと不安に思うことはない。1000万円以内なら、ペイオフでガッチリ守られているからだ。

 5000万円だって問題ない。5つの銀行に1000万円ずつ分散して預金すればいいだけの話。そうすれば、ペイオフの制度が今後変更されない限り、何かあっても安心なのだ。

■外貨預金はペイオフの対象外!

 けれど!

 気をつけなければいけないことがある。なんでもかんでもペイオフの対象ではないからだ。たとえば、外国の銀行の在日支店はペイオフの対象外である。

 そして、外貨預金もまたペイオフの対象外!

 つまり、銀行に外貨預金をしていて、その銀行が破たんした場合、その預金は戻ってこない可能性が十分あるということだ。

■木村剛氏がFXより外貨預金と語っていたワケ

 記者は雑誌『ダイヤモンドZAi』の企画で、日本振興銀行の元会長・木村剛氏へ2007年に取材をしたことがある。内容は個人投資家の投資戦略についてで、日本振興銀行のことではなかったが…。

 木村氏には改訂を重ね、ロングセラーとなっている『投資戦略の発想法』という著書がある。日本振興銀行の経営とは関係なく、個人投資家の投資戦略を説いたこの本は悪くない本だと思う。

 記者の手元には『投資戦略の発想法』の2005年に発行された「最新版」があるのだが、そこでは個人投資家の投資戦略として、三分割ポートフォリオが勧められており、その対象は「国内株式、国債、外貨預金(もしくは外貨MMF)の三つ」と記されていた。

 この2005年版の本では外貨建て資産については、「外貨預金(もしくは外貨MMF)」が推奨されていたのだ。FXではなかったのである。

 外貨預金はFXよりも非常にコストが高いにもかかわらず…(外貨建て資産で外国株が真っ先に上がっていないことには理由があるのだが、本稿の趣旨から外れるので説明は省略する)

 木村氏の真意はどこにあったのか?
 2007年の取材時、木村氏はこう語っていた。

 「以前は、いわゆる外為取引を餌にして、個人を食い物にしようとする業者が実際少なくなかったのです。外国為替証拠金取引(FX)と称して、顧客のお金を実は自分の懐に入れているだけという業者が多かった。

個人が一番考えるべきものは元本リスクだと私は思っています。外貨預金のほうがFXよりもコストがかかるといっても、そのコストが2%劣後する程度であれば、致命傷にはなりません。しかし、悪い業者に欺されて元本を100%失ってしまっては、致命傷になり得ます。

 だから、FXよりは外貨預金の方がいいでしょう、ということだったのです。

 ただ、その後『くりっく365』という公の取引所もできました。また、FXの悪徳業者も相当淘汰されていますので、今ならFXも悪くないでしょう」(※)

(※「今なら」というのは、この取材時の2007年現在のこと)

■外貨預金とFX、安全なのはどっち?

 木村氏の表現は少し過激過ぎるかもしれないが、その昔は怪しげなFX会社が存在していたのも事実。ただ、大問題を起こした会社のほとんどは聞いたこともないような小さな会社だった。

 また、この間、業界の健全化も着実に進んだ。2005年には、FX会社が金融庁への許可制から登録制になり、同年には木村氏の指摘するとおり、公的な為替の取引所取引である「くりっく365」も開設されている(その後、2009年には為替の取引所取引として「大証FX」も開設)

◆こちらをご参考に…
「FX会社おすすめ比較:特集『くりっく365』はなんで安心なの?」


 そして本年、2010年2月からは信託保全が義務化された。これは「まさかの事態」に備え、個人投資家が資産を守るという意味で、非常に大きな出来事だった。

 信託保全の義務化により、FX会社が顧客から預かった証拠金(含み益やスワップ益なども含む)は、すべて信託銀行等に金銭信託しなければならないことになった(FXの取引所取引の場合は、FX会社が取引所に証拠金を預託→取引所は信託銀行等にそれを金銭信託する流れになる)

 このしくみだと、FX会社が破たんしても、信託銀行等が破たんしても、基本的に顧客の資産は守られるのだ(※)。

(※厳密にはFX会社へ入金してから、それが信託銀行等に金銭信託されるまで、状況によっては若干のタイムラグが生ずることがあり得る(最大2営業日まで)。そのため、どんな時でも完全無欠に100%資産が守られるとは言い切れない)

 ペイオフの対象外である外貨預金、そして、信託保全によってほぼ完全に守られているFX。

 「まさかの事態」が起きた時に安全なのはどちらだろうか?

■外貨預金とFXでは200倍以上もコストが違う!

メガバンクの外貨預金では米ドルの場合、1米ドルあたり往復2円(銭で表現すれば200銭)という巨額の手数料がかかる。

 FXでこれに相当するものは売買手数料+スプレッドということになるが、今人気のFX会社では米ドル/円の売買手数料は無料、スプレッドは1銭以下というところが多い。

◆こちらをご参考に…
「FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる」


200銭と1銭以下。

 売買に際してかかるコストは外貨預金とFXで200倍以上も違うのだ! それでいて、安全なのはFXのほうと言っていいような状況にある。

 それでも…。いくらFXでは信託保全が義務化されているといっても、FX会社がそのルールを守っているかどうかわからない、という超心配性の人もいるかもしれない。そういう人は、FX会社の中でも知名度が高く、信用力がある会社を選べばいいのではないだろうか。

◆こちらをご参考に…
「FX会社おすすめ比較:会社の信頼性で比べる」


■レバレッジ1倍で運用すればFXは外貨預金と同じ

 FXは外貨預金と違ってレバレッジが高いから危険と思っている方がいるかもしれない。けれど、それは誤解だ。

 確かにFXではレバレッジを利かせることができ、現在、それは50倍までとなっている。

 しかし、50倍というのは「最大ここまでできる」という数字に過ぎない。それ以下のレバレッジで運用したって構わないのだ。極端な話、レバレッジ1倍で運用しても構わない。レバレッジ1倍とは外貨預金と同じことである。

 今は1000通貨単位という小口で取引できるFX会社も増えている。1米ドル=85円とすれば、1000米ドル=8万5000円だ。

 レバレッジ1倍でFXをやるなら、FX会社に8万5000円を入金し、それで1000米ドルを買えばいいのである。かなり手軽にFXはできるのだ。

◆こちらをご参考に…
「FX会社おすすめ比較:1000通貨単位で取引できるFX会社」


 外貨預金で、外貨建ての資産運用を始めようかと考えている人は、ちょっと立ち止まって、FXでの運用を検討してみてはどうだろうか?

(ザイFX!編集部・井口稔)
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