昨日は材料の少ないところに、要人発言による観測記事だけが目立つこととなった。まずはECBの7月利上げである。これは既に市場価格に25ベーシス分が完全に織り込まれてしまっており、いまさら驚くことではない。また現在行っている量的緩和も早期に終了させるということだが、これもラガルド総裁が直接に口にしたということで、確認が済んだという意味合いしかない。
今頃になってまだ利上げに反対しているメンバーがいるとしたら、そちらのほうが驚きだ。 金融政策の当局者としての資質を疑ってしまう。ユーロの利上げが50ベーシスに及ぶかどうかに次の焦点が移ることになるが、利上げの議論がオープンになったことによって、ユーロ相場は全面高となった。
次にバイデン政権が対中輸入関税を引き下げるというものである。そもそもトランプ政権のときの2019年に関税を引き上げたのだが、そのための警戒措置として25ベーシスの利下げを3回、すなわちベーシスの利下げを行った。
年末に第1弾の合意が得られたので、その利下げ分を早く元通りに戻るべきであったが、コロナ感染もあって後手後手に回っていた。それが今年になって75ベーシスまで利上げをしたので、対中分の正常化は果たされたことになる。物価高を抑えるためにも、対中関税は引き下げるのが望ましい環境になっていた。それを好感して米国株は大きく切り返した。
ユーロドルが1.05台の後半にいた間は、私もユーロドルの戻り売りで対処していた。小刻みに利食いしたり、手短かに損切り「しながら時間を費やしたのだが、欧州時間になって1.06台に乗せてきてステーブルになってしまうと、ラガルド総裁の発言と関係なく、私もロング攻めの方向に転換した。しかし元からがユーロドルに対してベアなので、そう長くは持ってはいられない。不本意ながらも、ユーロロングで細かくとることができた。
今晩はドイツ、イギリス、アメリカの景況指数が発表される。どうやら戦争による自粛ムードはだいぶ和らいできたようである。景況感の改善が見込まれているが、それがドル金利に再び上昇圧力をかけるのかどうか。それが見どころだ。
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