ECBの会合は予想通りで何もしなかったが、注目されたのはラガルド総裁の会見である。市場の見込みとしては7月に量的緩和の停止と利上げを発表するものと思われている。そこで出してきたのが7月に25ベーシス利上げだった。
本来ならばインフレ対策が目的なのだから、50ベーシス上げてしまってマイナス金利を脱することが先決だろう。そしてマーケットにやる気が本気なのを見せつけるのだ。それが25ベーシスト公言してしまったために、やや失望感が出た。
会見の直前までユーロは買われ、ユーロ円、そしてユーロドルも値を上げていた。利上げの発表をするのだから少なくともユーロ売りはない。何もすることがないならば、ユーロでも買っておこうという感じ。それがちょっと裏切られたということで、ユーロは急激に落ちることとなった。
会見前につけた当日の安値も下回ってきて、1.06台のミドルも割り込んできた。アジア時間に調整で下げを強制されていたドル円も、そうしたドル買いの流れの中で134円台を回復。最終的にはドルの全面高のかたちで終了した。
今晩はアメリカのCPIがある。インフレの進行具合を測るのにたいへんに注目されているが、CPIの数字は経済指標としてはそれほども期待すべきものでもない。それはCPIがPPIに3ヶ月ほど遅行してしまうので、その数字のありようが想像に難くないからだ。
ちょっと前のPPIから鑑みると、今回のCPIはピークアウトを匂わせるくらいの強くない数字が出ることが予想される。しかしマイナス転するわけではないので、物価は高止まりのままである。
2年債の利回りが2.7%ということは、1年後の短期金利が3%を越えていることを意味する。なぜならば今のままのペースで短期金利を上げていっても今年中には2%台に乗せるのがやっとだからである。2年間が平均して2.7%になるためには最終的に3.5%以上くらいを見込んでいるということだ。それなのに9月利上げを見送るなどと言うのは、まったく間尺に合わないことなのである。
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