ECBが50ベーシスの利上げをした。これによって政策金利のマイナスと言うのは脱却した。しかし依然としてゼロ近傍の金利なので、それでインフレに立ち向かうのは無理。まだまだ足りないのである。そのうえイタリア政権が不安定になってきているので、またイタリア債だけ突出するのを避けなければいけないという要請も大きい。
いろいろと小手先の制度を設けてはいるが、政治分野までの統合を果たしていない以上、ドイツ債との利回り格差が拡大してくるのも止むをえないところだろう。ユーロの利上げで瞬間的にユーロ買いとはなったが、5分ももたずに基のレベルにまで戻った。ユーロドルは前日のレンジとほぼ同じ範囲内に収まった。
つまりECBのアクションは市場にフレッシュな材料をもたらしたことにはならないのである。私としてはユーロの利上げがあまり足りないと感じていたので、事実上は利下げのようなものだと見ている。だからどこかでユーロ売りをしたいと待っていたのだが、ユーロドルが1.02台でステイでは、なかなか売るだけの触手が沸かなかった。
一方で日銀だが、依然として金融緩和を継続。物価の見通しを引き上げたのだから、それに従ってアクションを起こせばいいのに、給与もいっしょに上がっていくようなよい物価高ではないとして緩和スタンスに固執。いったい何を守ろうとして金融政策を決めているのだろうか。黒田総裁の発言後は確かにドル円も50ポイントほども上がったが、たかだかそこまで。従来のように激しく2円ほど上がるようなことはなかった。
むしろドル円はニューヨーク時間で下がることとなった。アメリカの経済指標がおしなべて悪いものが並んだということもあって、ドル金利が低下。それでドル買いには勢いがつかなかったのだろう。今日の午前中のアジアセッションでもドル円は緩く、137円割れを伺う展開となった。しばらくはドル円も調整色の強い相場展開になるのかもしれない。
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