欧州域内でのインフレ傾向が際立ってきた。来週のECBの金利会合でも75ベーシスポイントの利上げは避けられないだろうというところまで来ている。しかしECBの主要メンバーがまだ景気の腰折れを心配しているので、利上げによるインフレ対策の本気度が疑われている。仕方がなく利上げするのだったら次回の利上げも相当にもめるだろう。それを見越してユーロ買いに勢いがづかない状態となっている。
一方でドル円は日銀のスタンスがはっきりしている。これだけ物価高でも景気の悪化を恐れるというもの。まったくパウエル議長の主張とは真逆である。生活者を犠牲にしてでも企業(とくに一部の)利益を重視する方を選んでいるのだ。雇用を守るためという大義名分はあるとは言え、何を大切にすべきなのかを、ひいては国家は何のためにあるのかを勘違いしているのではないかとすら思ってしまう。
ともかくもそれによって昨日はドル円、ユーロ円はニューヨーク時間で高値引け。そして今日に成って再び139円台の中盤を突破してきた。中値決めにむけて買いが集中した後、今年の最高値である139.59をうかがっていたが、結局は上抜けしてしまった。
ドル円はもう押し目ですら拾えなくなってきた。目先の目標は心理的な節目である140円ちょうどであるが、これも単なる通過点となるしかなさそうだ。
来週にはオーストラリア、カナダ、ECBと金利会合が続くが、ここでいっそうのインフレ懸念が明らかになるだけだろう。それはドル相場のブル・スタンスを強めるだけであり、突っ込んででもドルは買って行かなくてはならなくなりそうだ。
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