■市場のセンチメントはユーロ売り一色に傾いている
新年に入っても為替市場の主役はユーロであり、また、早くも波乱の値動きを見せている。
年明け第1週、ユーロ/米ドルは1.3350ドル近辺から1.2900ドル割れまで大幅に下落し、ユーロ/英ポンド、ユーロ/円、ユーロ/豪ドルなどのユーロクロス通貨ペアもそろって急落した。
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その中でも、ユーロ/スイスフランは史上最安値を更新している。
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その背景には、「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)」という造語の「順番どおり」に、ユーロのソブリンリスク(国家に対する信用リスク)が、ポルトガルやスペインに波及するのではないかといった市場の懸念がくすぶっている。
具体的に言えば、ギリシャとアイルランドに続いて、ポルトガルもECB(欧州中央銀行)とIMF(国際通貨基金)の支援なしではやっていけないといった見方が支配的となり、スペインまで飛び火するのも時間の問題だと見る向きが増えつつある。
ゆえに、「ユーロはいずれ崩壊する」といったネガティブな論調が再びささやかれ、市場のセンチメントはユーロ売り一色に傾いている。
今週は、1月12日(水)にポルトガル、13日(木)にスペインとイタリアの国債入札が実施されたが、これらに対する事前予測はかなり悲観的なものであった。入札の不調を期待し、遅れまいと、ユーロ売りを虎視眈々と狙う筋が多かったと聞いている。
■ユーロ/米ドルは年初来の下落幅をほぼ帳消しにした
しかし、フタを開けて見ると、そういった国々の起債はいずれも順調に行われ、投機筋は肩透かしを食らったかたちとなった。
その分だけユーロの切り返しはすさまじく、13日(木)のユーロ/米ドルは200pips以上も上昇し、4営業日続伸を達成。年初来の下落幅をほぼ帳消しにした。
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ユーロ/円もつれ高して110円台後半まで上昇するなど、足元では、ユーロクロス相場の回復が目立っている。
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また、ポルトガル首相の「支援必要なし」という発言や、トリシェECB総裁のタカ派発言(インフレ警戒)、国債買い入れ継続の表明がユーロのショートカバー(買い戻し)を急がせたと思われる。
■この2日間のユーロの上昇スピードが速かったワケは?
市場筋によると、一昨日から400pipsを超えるユーロ/米ドルの切り返しは、アジアの中央銀行の買いのほか、オプション絡みとヘッジファンドの注文も多かったという。
筆者はさらに、それ以外にももう1つの要素があるのではないかと思っている。それは…
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