いやあ、しかし金曜日の地震はたいへんだった。東京近辺で、ものに当たってけがをしたという人は少なかっただろうが、帰宅できないサラリーマンが街中にあふれかえってしまっているのを見て、私は驚いた。こんな映像を海外のニュースメディアで流されたら、日本買いはしたくはなくなるだろうなぁ。東京という都市の脆さを、あらためて痛感した。
それにしても、東北地方の被害が、あまりにもひどいという事がだんだんあきらかになってきて、とても驚いたし、かなり胸が痛くなった。心から亡くなられた方々のご冥福と、被災者の一日も早い回復を願わずにはいられない。海外の友人知人達からも、津波の後の惨状と原発の爆発の映像を見てみると、心配になるらしく、いろいろな言葉をかけてもらった。
ところで私は古い時代からのプレーヤーだが、どうも日本の地震では、最初はドル円買い、そして多少の円安が進んだところで、時間がたてばそれ以上の円高に持っていかれるということを何度も経験している。みんなが同じ方向にポジションを傾けてしまうのが原因なのだろうが、そう思ってみていたので、ドル円の上昇にはあまり期待していなかった。むしろ逃げ場を考えながらのトレーディングとなった。
テレビではCMなし状態で、全局で地震関連のニュースをやっている。考えてみれば、私が感じた過去最大級の地震でもあるのだ。考えようによってはリーマンショックなんかは消えてしまうくらいの大災害なのかもしれない。ちょうど欧州時間に入ってからのドル円の売りもワークしてきたので、あっさりとポジションをクローズ。なぜこんな時にドル円を売ってるんだろうと、自分にはあきれつつニュース番組を見ていた。
地震直後は83円台を懸命にやっていたドル円も、欧州時間では82円台の前半をキープするのがやっとだ。アメリカのCNBCでは日本の被害について語っており、保険会社が一斉にドル資産を打ってくるのではないかとの観測も出ていた。このコメントに反応したのか、ドル円はいっそう下落。ついに81円台に突入した。
ひさしぶりに大きく動いたドル円だったが、3月分のすべての値動きを、1日ですべて包んでしまった格好になる。つまりほとんど全部の月中レンジを1日でやってしまったということだ。
本日からアメリカは夏時間となった。材料はまったくない。中東情勢も落ち着きを示しており、原油価格も高くはない。週明けのアジア市場には、その動向に注目が集まった。津波の被害や原発の爆発が、どのように世界に受け止められるのか。まずは現金が必要ということもあって、換金売り、すなわち円買いが先行した。
やはり生きている以上、頑張ってトレーディングをしようではないか!モードだったので、朝いちでのドル円売りを想定していたが、これは私の予想を超える円高であった。今年の最安値であった80.92を下回ってきて、去年に記録した80.21までを射程に入れてしまった。早朝に81.66でショートに振った私も、そこまでは持ちきれなかった。とりあえず80円台も難しかもと思って、81.16で利食ってしまった。
しかしその後の反動は激しかった。値幅にすると1円ちょっとしかないのだが、少なくとも発車点を上回ってきている。日銀が供給を増やすとも言っているし、純粋に日本売りをしたいと思っている連中の背中を押すことにもなったのだろう。
日本のランチタイムには再び原発が爆発した。午後は円安のレベルで張り付いている。日本の原発の爆発が続いていることは、とても海外へのインパクトは大きく、日本売りの要素ではある。しかしドル円はリーマンショック以降の最安値である80.20近辺に近づいていて、緊張感のあるレベルにいる。
朝の安値となる80.60近辺を割れてきたら、テクニカル的に突っ込み売りをしてみようと思う。もちろん日銀が介入を敢行すれば、すぐにロスカットするし、場合によってはロングでついて行かねばならないのだろう。
日本時間 17時30分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)