■米国の景気減速懸念から、為替相場は円高へ
さて、米国株式市場が軟調な展開となる中で、スイスフラン同様に注目が集まり始めたのが、同じく「避難通貨」の側面を持つ「円」です。
スイスフランがこれまで堅調に推移する中、景気の先行きが不透明な日本の通貨である円は、スイスフランに対して弱含む展開でした。
その後、マーケットがリスクオフモードに以降しつつある中で、遅ればせながら「円」も選好され始めていて、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は徐々に値を下げてきました。
前述のように、80.00円を割り込んだ米ドル/円は、一時79.68円まで下落しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
これまでのところ、米ドル/円は79.50円のバリアに支えられた形になっており、現執筆時点では80円台前半まで回復しています。ただ、米国債利回りの低下が重しとなっており、上値は限定的でしょう。
さらに、6月6日(月)時点の東京金融取引所「くりっく365」のポジション動向を見ると、米ドル/円のネットのロングポジション(買い持ち)が過去最高の32億ドルまで達しており、このポジションが米ドル/円の上値を抑制する可能性は高いです。
しかし、米ドル/円の下落スピードは緩慢です。
6月3日(金)発表の米国雇用統計の数字を見ると、すでに赤信号が点灯していると思われますが、現状の米国経済の情勢を「ソフトパッチ(景気の一時的な低迷)」と表現している市場参加者は多く、米国株の下落も限定的であるため、米ドル/円が急落するような環境ではないようです。
米ドル/円は上値を確認しながら、徐々に79.00円方向に下落していくのではないでしょうか?
友人のヘッジファンドも、上値の重い米国株に対するヘッジも含めて、円のロング(買い持ち)を増やしているもようです。
■ユーロの7月利上げは相場にかなり織り込まれた
さて、6月9日(木)の欧州市場では、注目のECB(欧州中央銀行)理事会が開かれます。
マーケットでは、理事会後の声明において、トリシェ総裁が「strong vigilance」のトリシェコードを使い、7月の利上げを示唆することが期待されています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
ただ、今回のECBのアクションはかなりマーケットに織り込まれています。
そのため、発表後に「sell the fact(事実で売れ)」で、ユーロ/米ドルやユーロ/円が反落する可能性は高く、その動向に注目です。
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