みなさん、こんにちは。
■FRBメンバー全員が米経済の先行きに懸念を持っている
今週は、8月9日(火)開催分のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨が8月30日(火)に公表されましたので、まずはこの内容を振り返ってみたいと思います。
声明は次のようになりました。
「資産購入や償還期間延長、超過準備金利の引き下げも協議した」
「少数のメンバーは時間軸に加えて、実質的な緩和策を主張した」
「一部のメンバーは追加資産購入が可能であると表明」
「FRB(米連邦準備制度理事会)スタッフは潜在成長率を下方修正」
「多くのメンバーは見通しのダウンサイドリスクが増したとの認識を示した」
ここからわかることは、ほとんどのメンバーが米国経済の先行きについて懸念を持っているということです。
ただ、それに対してどのような対策をとるのかに関しては、意見がかなり割れています。
■米国で金融緩和を求める声は非常に多いものの…
この会合では、現行の政策金利を約2年間にわたって継続することが決められていますが、10人中3人が反対したことも明らかになっています。
また、一部で期待が高まっている「QE3(量的緩和政策第3弾)」についても、「一段の踏み込んだ行動を行うべきだ」という意見がある一方、「FRBが保有する短期証券を売却し、代わりに長期証券を買い入れる」といった、マイルドな緩和策にとどめるべきだとの意見もありました。
このように意見にバラツキがあるのは、米国経済が単純な景気悪化ではなく、景気は悪くなるけれどもインフレ率が高くなる「スタグフレーション」が起こりつつあるからでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
金融緩和は米国経済にはプラスかもしれませんが、一層のインフレを招きます。さらに、緩和は米ドル安を推し進め、それがインフレ率を高める要因にもなります。
以上のような環境下であるため、委員の意見が割れてしまっているのだと思います。
ただ、このような状況ですから、追加緩和を望む声は非常に根強いものの、私はそう簡単には積極的な緩和は行えないと思います。
とはいえ、何かネガティブな材料が新たに出てきたわけではなく、マーケットは安定してきています。市場の不安を示す「VIX指数」を見ると、一時50近かった数値が現在は30程度まで下がってきました。
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も安定してくるでしょう。豪ドル/円などの高金利通貨は買われやすいと思います。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足)
ただ、マーケットが落ち着いているからといって、このまま回復していくようなポジティブな材料が出てきたわけでもありません。
一方的に上昇を続けることは難しいと考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
米ドル/円に関しては、基本的には上値が重いので、戻したとしても78円台が限界ではないでしょうか?
■誰が財務大臣でも、もっと金融政策を行うべき
最後は、日本の情勢についてです。
今週、野田佳彦氏が首相に就任しました。
日本の金融政策については、財務大臣が誰になるかが重要になってきます。ですから、財務大臣の人事について注目しておきましょう。

ただ、このコラムでも何度もお話ししていますが、私はもっと金融政策を行っていく必要があると考えています。
誰が財務大臣になっても、その点はしっかりと主張していきたいと思います。
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