昨日は欧州通貨がどちらに行きたがっているのかを見極める大事な日であった。スイス当局は自国通貨安を宣言したのだから、他の国の対応も気になるところ。ユーロやポンドも、スイスと同じ欧州通貨というわけで対ドルでは大きく値崩れをしてきており、1.39台とか1.59台という久しぶりのレベルで落ち着いている。ドル円も77円台がフレッシュというわけでもないが、とにかくかたちの上では為替相場はドルの一極集中高になっている。
ドイツの裁判所でEFSFへの支援が違憲ではあると提訴したことについて、判断が下された。原告の主張を棄却するもので、その瞬間、ユーロドルが急上昇した。当面のギリシャへの追加支援には違法性がないということで、一歩前進といったところなのだろう。ただ議会の承認が今後も必要になるので、今のメルケル政権にとっては決して楽観できるものではない。
ともかく、その他にもスペインやフランスなどでも支援のための議会承認が進んでおり、それがマーケット全体を明るくさせたようだ。イタリアの緊縮財政案も上院を通りそうという報道もあり、久しぶりにユーロ圏から良いニュースが続いた。こうしてリスク許容度が増してきたことで、欧州株は上昇。その流れはニューヨーク市場に移っても変わらなかった。
あまり経済指標や要人発言といったファダメンタルズに振り回されることなく、株価はひたすら上昇する展開となった。為替相場のほうもそれにともなってクロス円がもっと上昇してもよさそうなのに、じつに静かなものだった。ユーロ円は108円台を中心とする動きをやめない。
たしかにギリシャの2年債が55%をつけて、10年債は10%を越えてくるなど、足もとのデフォルトリスクは高まっているのも確かだ。私はユーロ円の安値張りつきに、ちょっと異常さを感じているので、やはりショートを持っておきたいと思い、売るチャンスをうかがっていたのだが、108円台後半がせいぜいで、あまり戻りもたいしたことなかったので、売れず仕舞いとなった。
今晩はオバマ大統が上下院で演説をおこなう。年初の一般教書演説以外におこなうのは異例のことだ。そしてバーナンキ議長のスピーチも予定されている。今週に入ってからの相場の混乱もあって、とかくマーケットの期待だけが大きい。しかし特に目新しいものは出て来そうにもないのが実情ではないだろうか。
アメリカ政府のほうは、財政支出においてすでに規模が3000億ドル程度とされており、使途は失業対策と公共事業に充てられることは織り込み済みとなっている。また金融当局のほうも8月末のジャクソンホールでの言及を越えることはないだろうと見ている。
結局、終わった後の反動の方が恐ろしい感じがする。特に昨日の海外市場ではリスクテークがいっせいに進んだこともあって、そのコレクションが急激に入るかもしれない。私もそちらにベットするほうを選ぶつもりでいる。ニューヨーク時間の午後まで相場につきあうのはたいへんにきついが、最近、軟調地合いにあるクロス円などが下攻めを始めれば、即座にトレンドフォローと称して売り込んでいきたい。
ただしドル円は今年の安値を抜けてくるのは難しいかもしれないが、ユーロ円であれば意外とあっさりと106円台も割り込んでくるかもしれない。欧州時間にちょっとだけ109円台を覗きにいったりもしているが、ともかく売り場探し注力しているところだ。
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