しかし、オーバーシュートの状態でなければ、恐らく違った結果になっていたとしても全然おかしくはないだろう。
要するに、同じ現象でも場合によっては違った結果を生じさせるのが相場であり、その表の現象をどう解釈するかは、実は「相場の内部構造」によってかなりの部分が事前に決められているのだ。
■今週の株式市場は短期的な押し目買いのチャンスだった
言うまでもないが、今回は「相場の内部構造」では「オーバーシュートに対する修正」というニーズが高まっていたため、「悪い米ドル高」が一服し、ユーロが買われ、株式も続伸したわけである。
当然のように、今週に入ってからは、ユーロ、英ポンドの安値を追うべきではないといった感覚を持つのがまともで、株式市場は、短期投機としての押し目買いのチャンスに恵まれていた。
というのも、10月4日(火)は、ドイツのDAX指数が安値更新できず、米国のNYダウ指数が安値更新した後、終盤にかけて急反発していたため、10月5日(水)あたりに日経平均の押し目があれば拾うべきだったのだ。
いつものように、市場センチメントが総じて暗く、動きが一歩遅くなりがちな日経平均は10月4日(火)も陰線引けとなり、あわてずに押し目を拾うチャンスを提供してくれていた。
実際、筆者は為替レポートを配信しているので、ご購読者様に配慮して、ツイッターでタイムリーなつぶやきはできないのだが、株式に関しては前述の押し目チャンスをほぼリアルタイムにつぶやいていた。
そして、リスクオン・オフに関する株式市場と為替市場の連動性で、「株が買われれば、ユーロも買われる」という図式を思い起こせば、ユーロの押し目買いという筆者のスタンスも容易に推測できたと思う。
■誰もが売りポジションを建てたら、もう売る者はいない
ところで、このような話をすると、前回の論点から大きく違っているのではないかといった意見もあるかと想定できる(「UBSの不正取引事件は危機到来の兆し。マーケットを震撼させる大事件が起こる!」参照)。
しかし、矛盾のように聞こえるが、そうではないことを強調しておきたい。
要するに長期スパンにおける視点と短期スパンにおける視点は往々にして逆の方向を示すものが多く、逆に両者が常にいっしょになるはずはないのである。
というのは、一本調子の相場変動はあり得ない上、短期変動に伴うポジションの整理なしでは、長期スパンのターゲットは達成できないからだ。
仮に世の中すべての投資家がユーロの売りポジションしか持っていない場合、明日ユーロは下がるのではなく、大きく上がるだろう。
なぜなら…
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