「そして、ユーロはドルインデックスで約半分のウェイトを占めているわけですから、米ドル上昇の裏返しとして、ユーロが対米ドルで下落基調をたどる公算は高いと考えているわけです」(前回の記事「宮田直彦氏に聞く(1) 為替相場は歴史的な大転換点を迎えている!」参照)
■円の実質実効レートはきれいな左右対称形になっている
ドルインデックスに続き、今度は円の実効レートのチャートを見てみよう。これは主要通貨に対する円の総合力を表すもの。取り上げるのは、実効レートでも、各国の物価上昇率を加味した指標である実質実効レートだ。
以下の円の実質実効レートのチャートは、上に行くほど円高、下に行くほど円安になる。
これを見ると、1995年4月に151.11という非常に高い値をつけているのがわかる。これは米ドル/円が79.75円という歴史的円高水準をつけた時期だ。
そして…
「ちょっと冗談みたいな本当のことなんですが、この1995年4月を境に、このチャートではきれいな対称形ができています。
これは、ミラーチャートという言い方もするんですが、マーケットというのは、時として左右対称に動くことがあるんですね。これはその典型例ではないかと思うんです。
だとすると、今はどんな時期にあるかというと、1978年10月に109.94という高値をつけていますが、これを左側の山として、右側にそれに見合う山を今、作りつつあることになります。
日柄的に言うと、1978年10月と1995年4月が先ほどのドルインデックスでも出てきた16.5年という間隔。
そして、1995年4月の16.5年後というと2011年10月。まさに今ということになります。
もちろん、こういうサイクルはピタリ正確に当てはまるとは限らない。ある程度、大まかにとらえたほうがいいのですが、いずれにしても、2007年7月から続いた円高局面は終わりに近いか、あるいはすでに終わっているのだと思います」

■長期的な米ドル高・円安トレンドが来る!
下に再掲載した円の実質実効レートのチャートでは、ピンクのラインで宮田さんの今後の予想が掲載されている。それはこれからずいぶん長い期間、大きく下がっている。
ミラーチャートになるなら、確かにそのように今後は推移し、左右対称の“大きな山脈”が描かれることになりそうだ。
「円の実質実効レートチャートでは、少しずれもあるのですが、おおよそ12.5年ぐらいの周期で高値または安値をつけるサイクルも見られます。
前回のサイクルの終わりである2007年7月から約12.5年というと、2019~2020年ごろになります。だから、そのころまで円安が続くのだろうと考えています。
先ほど申し上げたようにドルインデックスは長期的なボトムをつけるタイミングを迎えています。そして、円の実質実効レートは、円高が終わるタイミングを迎えています。
そうなると、今後考えられるのは、『長期的な米ドル高・円安トレンド』ということになるでしょう」
■米ドル/円とよく似た米ドル/スイスフランのチャート
次第に話が米ドル/円相場に近づいてきたが、米ドル/円の“本丸”に突入する前に、もう1つ“外堀”を埋めておこう。
それは米ドル/スイスフランだ。
スイスフランは円と並ぶ「避難通貨」として知られる。世界経済が調子のいいときは売られ、世界経済が危機的状況になってくると一転買われやすくなる特徴がある。
では、そのスイスフランのチャートはどんな動きになってきたのだろうか? 同じ「避難通貨」である円の動きと似てきたのだろうか?
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