(「宮田直彦氏に聞く(3) 米ドル/円相場は『最終局面の最終局面の最終局面』にある」からつづく)
■米ドル/円はどの水準で底を打つのか?
さて、今度は米ドル/円が底を打つであろう水準について宮田さんの見解を聞いてみよう。
「2007年6月以降の米ドル/円を見ると、だいたい20%強、約23%下落して底打ちしていることがわかります」
再掲載した下のチャートで確認してみよう。
2007年6月高値124.16円から2008年3月安値95.71円までが22.9%の下落。また、2008年8月高値110.66円から2009年1月安値87.10円までが23.3%の下落だ。
確かに両方とも23%前後の下落になっている。
同じように、2010年5月高値94.99円から2011年8月19日につけた変動相場制以降の最安値75.95円までの下落率を出すと、20.6%ということになる。
これは下落率20%を超えているが、22~23%までは達していない。過去と同じだけすでに下落したととるか、まだもう少し下落するとみるか、非常に微妙なところではあるが…。
「2010年5月高値94.99円から、23%キッチリ下げるとすると、73~74円という数字が出てきます。
今後、75.95円を割り込んだときの下値メドとして、まずこのあたりが考えられるでしょう」
■米ドル/円が60円まで下落するにはもう時間がない
ところで、2009年に宮田さんに取材した際、「かつて米ドル/円が固定相場だった時のレート『360』をちょうど割り切れる数付近が米ドル/円では節目になりやすい」傾向があるという話があった。
たとえば、「360円の2分の1は180円、3分の1が120円、4分の1が90円」といった具合だ(「【09年予想】宮田直彦さんに聞く(3) ~70円台への突入はチャート的に当然~」参照)。
そして、このときも360円の5分の1である72円という下値目標を宮田さんは提示していた。
「360円の5分の1で72円という線も考えると、結局先ほどの話と合わせ、今後安値更新があるなら、下値メドは72~74円ということになるでしょう。
360円の6分の1で60円というのも以前なら考えられたのですが、私はサイクル的に遅くとも2012年2月までには米ドル/円が底を打つと考えていますので、そこまでの短期間に60円まで下落するのは難しいかなと思っています」

宮田さんは「安値更新があるとするなら」という表現を使っているように、8月19日につけた安値75.95円が実は大底だったという可能性もあり得るようだ。
「下のチャートに示したように、米ドル/円には約9カ月で安値をつけるサイクルもあるんです。この9カ月サイクルだと、8月はちょうどピッタリのタイミングなんです」
「8月19日の75.95円をつけたときはセリングクライマックスという感じの動きではありませんでした。
ただ、あまり例は多くないですが、ジワジワとした感じで底を打つソーサーボトム(鍋底)というパターンもあります。そして、今はソーサーボトムになりかかっているようにも見えます」
■80.24円を上抜けできるかどうかに注目!
すでに大底を打ったのか? これから大底を打つのか? 非常に微妙なところだが、底入れしたのかどうか、確認できるポイントはあるのだろうか。
「細かい確認ポイントはいくつかあるんですが、一番のポイントは80.24円ですね。これは8月4日に日銀の介入があったあとにつけた高値です。
ここを超えてくれば、長期的なものを含め、今までいろいろご紹介したすべてのサイクルが底入れしたと言えると考えています」
米ドル/円が80.24円を上抜けできるかどうか。これからはこの点をよ~く、チェックしておこう。
さて、米ドル/円の本格的底入れがあったあとは、長期的な米ドル高・円安トレンドとなるはずだが、その当面の目標を宮田さんはどう考えているのか?
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