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西原宏一_メルマガ取材記事
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ユーロ安はまだまだ序の口。ドイツでさえ
ECBの最終兵器に同意せざるを得なくなる

2011年11月18日(金)18:11公開 (2011年11月18日(金)18:11更新)
陳満咲杜

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 ユーロのソブリン危機を収束させるため、ECBがこのあたりで「最終兵器」を持ち出す可能性があるといった観測が浮上してきた。

 その最終兵器とは他ならぬ「紙幣の刷り撒き」なのだから、これが現実となれば、今までのユーロ安がまだまだ「序の口」に過ぎなかったということになるだろう。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 もっとも、このコラムでも何度か書いてきたが、ECBはドイツ中銀のDNAを継承しているため、インフレ退治を第一任務として自らに課していると言われている。

 この点で、「紙幣の刷り撒き」という量的緩和は、間違いなくインフレを引き起こす。今までのECBでは考えられない選択肢であり、実際のところ、このような政策を採用しないとずっと明言してきた。

 しかし、焦眉の急となっているソブリン危機の退治に向けて、EFSFの機能は著しく欠けている

 10月に合意された1兆ユーロまでの規模拡大が実際になされるのか危い状況で、EFSFのレバレッジ化を疑問視するマーケットの声も依然として根強い。実際のところ、最近のEFSF債の入札は不調である。

 EFSFのレバレッジ化は、トリプルAの国の担保が付与されているために可能となっているものの、担保国のフランスがトリプルAの格付けを失ってしまえば、元も子もない。

 もはや、ユーロのソブリン危機を退治するために、EFSFだけで対応できない段階に来ている。

ドイツもECBの量的緩和に同意せざるを得なくなる

EFSFとECBがイタリアなどの国債を買い支えているが、それにも関わらず、イタリア国債の利回りは一時7%を超えた。これは問題の深刻さを示すものである。

 債券市場のトレーダーは、この買い支え自体を問題の深刻さを示す材料と見ており、かえって、これがポジションの手仕舞いを急がせているとも言われている。

 EFSFにしても、ECBにしても、国債のマーケットを支えられなくなることは明白だ。

 このような事情を背景に、最終手段として、あの孤高のECBにも「墜落」してもらって紙幣を刷り足し、ほとんど無制限に国債を買い入れるしかないといったシナリオが、ユーロ圏の内部で検討されているそうだ。

 これは言うまでもなく、大国のドイツにとって、安易に同意し難いやり方だ。ドイツは今のところ、ECBが最後の貸し手(国債の買い手)となるような措置には断固反対しており、前述のシナリオの進行を妨げている。

 その代わりにドイツが持ち出してきたのは、EU憲法を修正して「政治同盟」の形成を目指すという案だ。この案が実現すれば、「政治同盟」に共通した財務省の設立が可能となり、EU共同債券の発行が初めて可能となる

 しかし、こうすればソブリン危機が容易に解決すると思われる一方で、これは自国主権の一部を差し出すことを意味するだけに、一朝一夕にできるものではない。

 したがって、ソブリン危機が悪化するにつれ、最終的には、ドイツもECBの量的緩和に同意せざるを得なくなるだろう。「政治連盟」の結成前にユーロが崩壊してしまえば、ドイツにとっても元も子もなくなる。

 以上のことから、ユーロ安の進行はこれからと言えるだろう。

 ただ、そうであっても、ユーロ安は2008年のように一直線に進むのではなく、段階的に進むと予想される。このあたりの話はまた次回に譲ろう。

ユーロ/円 週足

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ユーロ/円については、日本当局の介入の有無に関わらず、100円割れにしっかり備えておきたい

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