先週末の海外市場では欧州の信用不安が薄らいだ形で始まった。問題であったイタリアやスペインの国債価格がとりあえず下げ止まり、結果としてドイツなどとの信用スプレッドが縮小したからだ。まだまだスプレッドの絶対水準としては大きいものがあるのだが、とにかく目の前での拡大は遠のいたということでマーケットのリスク許容度は増加した。
そのうえ、直接にお金の出し手になりたくないと言われてきたECB(欧州中銀)が、IMFに資金を提供して、それで欧州危機に対策を打つのではないのかとの見方が広がり、事情の楽観ムードを大きくなった。
ユーロドルは1.36台まで上昇し、実に久しぶりのレベルだ。私は1.3550あたりが上限だろうと思っていたのだが、存外に上げ余地があったものだと驚いている。それでも私がショートにしなくても済んだのは、ほとんど押し目らしい押し目も作らずに上がってしまったためだ。
ワンウェーに上がってしまうと、売り手は手が出しにくい。特にフレッシュなショートメークではなおさらだ。裏を返せば、トレンドフォロー系が頑張りそうなところを、わざわざ好んで餌食になるのも嫌だし…。
しかしユーロベアとしてそんなにのんびりもしてはいられない。なぜならユーロ売りの材料も出ていたからだ。まずはメルケル首相がイギリスのキャメロン首相との会談で、EUの進むべき道に関して完全に合意に至ることができなかったこと。またECBのドラギ総裁が、ECBの責務はやはり物価の安定にあるとし、危機救済が目的ではないとコメントしたことだ。
もちろん目の前でユーロ買いが進んでいるうちはユーロドルを売り込むわけにはいかないが、いずれどこかで売りたいものである。自分の頭の中には、はやくも翌週以降のアメリカの財政問題があった。
どこかでリスク回避のポジションを作らなければと気にとめていなければという気もしていた。でもどうもまだイマイチ、ニューヨーク市場が夜中になってしまうことに身体が慣れていないので、結局、その後の1.35台を割り込んだまでにユーロ売りが進んだ相場は見ていなかった。
週明けの本日は為替相場では大した値動きはなかったが、グローベックスでは米国が大きく沈みこんでスタートした。米議会で23日までのすり合わせは無理であろうこと、今晩にもギブアップ宣言か?との観測記事が出た上に、ニューヨークで爆弾騒ぎもあったからだ。
マーケット全体が特にリスク回避に傾いているというわけでもない。リスク相場との相関性の高いユーロ円は、朝から104円ちょうどをはさんで一進一退の動きが続き、ドル円も相変わらずでほとんど動かなかった。
ユーロ円が104円台に戻ってきたら売りたいと構えていたが、なかなか来そうで来ない。こういう時に限ってズルっと下がってしまったりするんだろうなぁなどと思っていたら、案の定。1.3500がサポートされている模様だったユーロドルが1.34台に割れてくると、ユーロ円も103円台のミドルに落ちてきた。慌ててちょっと売ったりもしたが、103円台の前半では止まり、また小動きになってしまった。うーん。
やはり欧州時間での市場の消化具合を確認しないといけないのかもしれない。先週はユーロドルにこだわったが、ユーロ円も103円台を見てきており、そろそろユーロ円が面白い季節(?)を迎えているように感じている。105円まで戻ったら損切る覚悟で、ちょっと粘ってつきあってみようかと思う。
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