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もうすぐ2011年が終わろうとしています。今年1年間のトレードパフォーマンスはいかがだったでしょうか?
年末年始のこの時期は1年のトレードを振り返り、来年へのさらなる飛躍を誓う1つのきっかけになる時期です。
今年納得のいくトレード結果にならなかった場合、そこには何らかの原因があり、それを改めない限りは同じ結果が2012年も続いていく可能性が高いです。
ぜひ、トレード結果を振り返り、改めるべきところを改めて来年の利益へとつなげていきましょう。
■方向感がはっきりしなかったユーロ/米ドル
相場の値動きにおいても、2011年を振り返ることで2012年の動きがうっすらと見えてきます。今年1年のFX市場を振り返り、2012年を展望してみましょう。
では、主要3通貨ペアの2011年の動きを月足で確認してみます。最初はユーロ/米ドルです。
ユーロ/米ドルは2002年のユーロ導入から2004年にかけて、そして2005年末から2008年にかけて大きく2回の上昇を見せました。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
その後、2008年から相次いでリーマンショック、ギリシャショックと大きな市場の変化に会い、方向感を失くす調整の展開を続けています。
つまり、中長期的には米ドル安なのか、それともユーロ安なのかがはっきりしない展開です。
■超円高時代が続いている米ドル/円
次に米ドル/円を見てみます。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
米ドル/円は、1998年の高値をピークにした長期の三角保ち合い(※)を2007年まで形成、2008年のリーマンショックにかけて下放れ(下ブレイク)を完成し、超円高と呼ばれる米ドル安・円高のトレンドを形成しています。
(※編集部注:「三角保ち合い」とはチャートパターンの1つで高値も安値も更新できずに値動きが徐々に小さくなる状態)
■ユーロ/円はユーロ安・円高トレンドが継続
最後に、ユーロ/円を見てみましょう。
ユーロ/円は2002年のユーロ導入以来、2008年にかけて一方的なアップトレンド(上昇トレンド)を形成しました。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
その後、2008年の高値をピークに下落を開始、リーマンショック、ギリシャショックの影響を大きく受け、途中戻りを入れながらも安値を切り下げる下落が続いています。
つまり、2008年からユーロ安・円高が続いており、2011年の1年間も途中戻りを入れながらも安値切り下げのユーロ安・円高だったということになります。
このように3つの主要通貨ペアを順に見てくると、2011年の1年間は対米ドル、対ユーロにおいては円高相場が形成され、ユーロ/米ドルに関しては明確な方向感を見極めるのが難しい時間帯だったとわかります。
■「斜行三角形」の出現にトレンド転換の可能性
ここで、市場で形成されるトレンドの一般的な性質を振り返ると「一旦形成されたトレンドは、一定期間続こうとする」という性格がありますので、2011年に円高トレンドが形成されたということは、2012年の注目の1つは「円高トレンドの継続」という点になります。
ただし、米ドル/円、ユーロ/円の月足を見ると、どちらも下落の中で斜行三角形らしきチャートパターンが出現しており、いずれ反転を開始するのではないかと考えることができます。
(チャート出所:インベストメントテクノロジーズ「Egde Trader」)
斜行三角形とは、エリオット波動における波形の1つで、最終波動である第5波に見られるチャートパターンです。最終波動に見られるということは、この波形が確認された時には、反転に注意する必要があります。
斜行三角形とその後の反転開始パターンにはいくつかの形状があります。そのため、この斜行三角形らしき形が見られたという1つの事実だけをもって円安相場を想定することはできませんが、これが2012年相場の1つのポイントになることは間違いないでしょう。
■2012年の為替相場はココに注目!
そして、2011年の1年間では方向感を見出せなかったユーロ/米ドルは、いずれどちらかにトレンドを発生させる値動きがやってくるでしょう。
それがユーロ安・米ドル高のトレンドなのか、それともユーロ高・米ドル安のトレンドなのか。今の時点でどちらになるかを予想することは無理のあることですので、いずれどちらかの通貨へのトレンドが発生するかもしれないと考え、準備をしたいと思います。
2011年は円高の相場でした。
2012年は円高が続くのか? そして、米ドルとユーロはどちらにトレンドを発生させるのか?
2012年はこの2点に注目したいと思います。
最後に、年間展望や相場の先行きを想定しても、実際のエントリー時においてリスクをどのように取るのか、自己資金に対して適切な売買サイズ(通貨枚数)とはどれくらいなのか、ということを準備していなければ、せっかくの事前の想定がまるで意味を成さなくなってしまいます。
事前の想定はそれとして、常に自分自身のトレードルールを準備しておきましょう。
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