昨日のロンドン市場では、ドイツとイタリアの会談の行方などが取りざたされるだろうと考えていたが、実際はほとんど無視された。それは欧州時間の序盤にドイツの統計局が発表したGDPによってである。昨年1年分のGDPがプラス3.0%であったのはよいにしても、間もなく発表されることになる第4四半期のGDPがマイナスになるだろうと言ってしまったのだ。
これで欧州の信用不安が再び持ち上がった。アジア時間には1.28台までユーロの買い戻しが続きそうな勢いであったのに、ユーロは失速。私も1.28台を手ぐすね引いて待っていただけに、かなりガッカリした。
私のようにユーロを売りそびれたプレーヤーに加えて、ユーロロングで攻めていた人々の投げ売りも巻き込んで、ユーロドルはいとも簡単に1.26台に逆戻り。欧州株が下げ幅を角台する一方で、ドイツ債や米国債といった安全資産は急上昇。長期債の利回りは昨年の秋に記録した歴史的な低水準に並びにかかった。マーケットは全体的にリスク回避に向かいつつも、グローベックスでの米国株だけは腰が強かった。
私も自分の売りたいレベルをかなり下げて待っていたが、ユーロドルは1.2750ですらも戻さない。独伊会談ではイタリアの努力姿勢をほめたたえるようなメルケル首相の演説だけで、そこからはマーケットの材料になるものは何も出てこなかった。
私は寝る前にダメ元で1.2800でオファーを出しておいたが、当然のごとく来ない。今日のアジア時間でも1.27台の前半をウロウロするだけで、値動きに乏しい。ランチタイムに福島で震度4ということで、株が売られ、リスク回避の動きがもうちょっと出るかと期待されたが、あまり動くことはなかった。
今晩は19時にスペイン国債の入札が予定されている。今のところ問題なく消化される見通し。それよりもイギリスとECBの金融政策に注目したい。特にイギリスは次回の金利会合で利下げすると見込まれており、それが早まって、本日の会合で行われてもおかしくない状況だ。ユーロを取り囲む周辺の国、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンと利下げをしてきたのだから、イギリスとしても同調しておかなくてはいけない局面であることは間違いない。
それを反映してか、昨日のドイツの悪材料に対しては、確かにユーロも売り込まれたが、欧州通貨としてのポンドも激しく売り込まれることとなった。ポンドドルは久しぶりに見る1.53台まで下落。ポンド売りも強力だったせいで、昨日のユーロポンドはむしろ上昇しているほどだ。
そういうわけでユーロクロスの下落がともなわないユーロドルの下げとなっている。ここは注意を払いたいところ。いつメクリ上げられてもおかしくないくらい、年初からのユーロショートもたまっていることである。しかし最近のユーロドルはアメリカの材料にも反応しやすくなってきており、ユーロの悪材料だけで下げるばかりではなく、アメリカの好材料にも単純に反応する。
今夜のアメリカの小売売上高はプラス0.3%くらいが事前の予想だが、これがプラス0.5%を越えてくるようだと、盛んなドル買い相場になるかもしれない。そのときはユーロクロスの動きも無視して、純粋なトレンドフォローでユーロドルを売り込んでいってもいいのではないかとも思う。
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